3月12日、大手企業の春季労使交渉の集中回答日を迎え、発表が相次いだ。当初の予想通り、満額回答が続き、高水準だった24年の回答を上回った。本稿では、大手ITベンダーの回答状況をまとめて紹介しよう。→2024年の春季労使交渉結果まとめはこちら。
日立製作所
小誌では、2月13日、日立製作所の労働組合が2025年春季労使交渉(春季交渉)として会社側に要求を提出した時の模様をお届けした。
同社労働組合はその際、賃上げ率6.2%のベア1万7000円を要求したが、満額回答となった(平均昇給額は18,095円)。2024年の要求額の1万3000円から4000円引き上がった。
賞与(年間一時金)は2,447,000円(6.9カ月)の要求に対し、2,304,900円(6.5カ月)となった。2024年の2,028,079円(6.17カ月)から、30万円弱上がった。
初任給は大卒が269,000円(19,000円の引き上げ)、高卒が:205,000 円(18,000 円の引き上げ)となっている。
パナソニック ホールディングス
パナソニック ホールディングスは、企画・開発・設計職基幹労働者30歳の個別賃金水準((358,000円)について、13,000円(3.63%)の改善を図る。組合員平均昇給率はベースアップのみで3.33%、定昇見合い込みの平均昇給率は5.40%となり、個人業績の反映により、最大で10%以上となる見込みとのこと。
初任給は、高校卒201,000円、短大卒211,500円円、高専卒229,000円でいずれも13,000円の引き上げ。大学卒は269,000円、大学院卒は296,000円でいずれも19,000円の引き上げ。
パナソニック
パナソニックでは、傘下の5事業分社と直轄部門の6つの単位で、組合(パナソニック エレクトリックワークス労働組合、パナソニックアプライアンスユニオン、パナソニックエアコン・コールドチェーンユニオン)と交渉を実施。組合員数は約15,400人。
パナソニックは開発・設計職基幹労働者30歳の個別賃金水準について、13,500 円(定昇含む賃上げ率6.73%)の改善を図る。
初任給は、高校卒201,000 円、短大卒213,000円、高専卒233,000円、大学卒265,000円、大学院卒293,000円。
パナソニック インダストリー
パナソニックグループでデバイス領域を担当するパナソニック インダストリーの賃金は同社最高回答水準を継続し、賃金改善率5.2%と回答した。
賞与は満額回答により5.1カ月となった。
初任給も満額回答で、高校卒203,000円、短大卒219,000円、高専卒235,000円、大学卒265,000円、大学院卒293,000円へ引き上げる。
パナソニック エナジー
パナソニックグループで電池事業領域を担うパナソニック エナジーは、開発・設計職基幹労働者の個別賃金水準として、13,000円の賃金水準引き上げ(ベースアップ)を行う。
また、平均1,000円相当の原資を高評価者へ重点配分する、個人別賃金改善を実施する。これらに定期賃金改定を合わせると、対前年で平均約5.2%の賃金水準改善となる。
初任給は高校卒200,000 円 、高専卒234,000 円、大学卒266,000 円 、大学院卒293,000円へ水準を引き上げる。
なお、同社は2025年4月から全社員を対象とする新しい人事制度へと移行する。2024年4月に基幹職(管理職層)において、各人の期待役割を超える挑戦や成果を、きめ細やかに評価し、その結果を報酬に反映する制度の見直しを実施。今回は一般社員(非管理職層)および定年再雇用社員を加えた全社員を対象に評価制度および報酬制度を刷新する。
NEC
NECも労働組合の要求に対し満額回答で、賃金水準5.0%の加算とする。5.0%は現行水準に対して月額17,000円の加算に相当する。定期昇給を含む賃上げ率は6.5%の加算となる。
シニア(定年再雇用者)に対しては、2025年6月賞与時に一律20万円(月額17,000円相当)を加算して支給する。
大卒の初任給は294,000円、修士了の初任給は314,400円と、いずれも満額回答となった。
三菱電機
三菱電機は、開発設計職基幹労働者(30歳相当)の基本賃金において15,000円の水準改善(月収増率:査定昇給と合わせて平均6.42%増)を行い、役割給359,000円(役割給 344,000 円+賃金改善 15,000 円)と発表。組合の水準改善・月収増率いずれも現交渉方式となった2008年以来、同社過去最高水準となった。組合の水準改善の要求は17,000円だった。
賞与は組合要求の年間6.5カ月に対し、年間6.0カ月(年収増率は平均6.83%増)の回答となった。
初任給は組合の要求13,000円増に対し、高卒が207,000 円(18,000円増)、大学卒が269,000 円(19,000円増)と、組合の要求を上回る結果となった。