デル・テクノロジーズは3月7日、AI時代の最新サーバの動向と未来を創るコンピューティング技術の進化に関する記者説明会を開催した。過去25年で人類のライフスタイルは大きく変化し、サーバが担う役割も変革を遂げた。
執行役員 インフラストラクチャー・ソリューションズ営業統括本部 製品本部長 上原宏氏は、コンピューティングの世界について過去25年間について、次のように振り返った。
「2000年に『IT革命』が新語・流行語年間大賞を受賞し、以降、Red Hat Enterprise LinuxやVMwareの仮想化が登場するなど、サーバが目覚ましい進歩を遂げた。2006年にクラウドサービスが登場し、2010年から生成AIのインフラの礎が作られてきた」
GPUサーバが牽引するx86サーバ市場の成長
上原氏はインテルがCPUを刷新するたびにサーバも追随してきたと述べ、同社の独自調査で、2000年から2024年にかけて、インテルのCPUが400倍進化したと紹介した。
また、x86サーバについて、各年の出荷台数分のCPUの性能を試算したところ、2000年から2024年にかけて、総コンピューティングパワーは278倍に達したと算出されたという。
昨今、AIの活用に伴い、GPUの利用が増えているが、x86サーバ市場においてもGPU搭載製品の出荷金額が伸びているという。このことは「サーバビジネスに関わる人によって重要」と、上原氏は述べた。その理由について、同氏は次のように説明した・
「現在のx86サーバ市場は台数はそこまで伸びてないが、金額が増えているので、ビジネス規模が伸びていると勘違いする人もいる。したがって、正確に伝える必要がある。そして、伸びている高単価のサーバを攻めないとビジネスが伸びない」
サーバビジネスの最大の課題は「熱対策」
そして、上原氏は「これからのサーバビジネスにおける最大の問題は熱対策。これに尽きる」と訴えた。
CPUもGPUも発熱はとどまるところを知らず、どうやって「電力をまかなうか」「冷やすか」が課題となっているという。だから、「今年は水冷元年を提唱する」と上原氏は力強く語った。
CPUやGPUの冷却方式としては、大きく分けて空冷と水冷の2種類がある。前者はヒートシンクでCPUの熱を吸収・放熱し、後者はCPUの発熱を冷却水で吸収する。空冷式よりも冷却性能が高いことから、水冷式の注目が高まっているが、コストが高いというデメリットもある。
インフラストラクチャー・ソリューションズ営業統括本部製品本部システム周辺機器部シニアプロダクトマネージャーの水口浩之氏は、デルの水冷サーバのビジネスについて、「2022年に急増し、2023年はさらに増えた。そして、2024年は2022年の3倍の案件に増えた。すべて相談ではなく、案件」と説明した。
水冷サーバのニーズが高まっている背景について、「CPUの消費電力は年々高まっており、空気で冷やすのが難しいほど発熱量も増加している。一方、CPUの温度が高くなればなるほど、低い温度で運用したほうがパフォーマンスがいいというデータもあり、消費電力が高くなればなるほど冷やさなければいけない」と、水口氏は説明した。
データセンターの水冷に向けラック型リューションを提供
デルは2017年に初めて水冷サーバの販売を開始し、現在は10機種提供している。サーバとあわせて、ラック型の水冷ソリューションも提供している。
水口氏は、デルが、人材、設備、場所の観点から、データセンターにおける発熱の課題を水冷で解決していると述べた。
人材については、経験豊富な空調・電源・通信の専門家集団が、設計、施工、運用を支援する。
設備については、既に多くのデータセンターが水冷や三相電源の設備を保有していることから、これらにあわせて、設備を追加する。データセンターで水冷を行うには、水、三相電源、床耐荷重が求められる。
したがって、「データセンターの設備業者を巻き込んで導入することが必要となる」と、水口氏は述べた。
今年1月に開催したセミナー「DLC Servers &Datacenter Summit」では、AI関連を含めた水冷サーバにフォーカスする形で行われた。東京・大阪の開催で550名が参加したが、「これまで当社とお付き合いがなかった方々が参加され、 新しい生態系が必要だという手ごたえを得た」と水口氏は語っていた。