Recorded Futureは3月1日(米国時間)、「Exclusive: Hegseth orders Cyber Command to stand down on Russia planning|The Record from Recorded Future News」において、米国の国防長官が同国のサイバー軍に対しロシアに対するすべての計画から手を引くよう命じたと報じた。
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Exclusive: Hegseth orders Cyber Command to stand down on Russia planning|The Record from Recorded Future News
詳細は非公開
Recorded Futureによると、国防総省の高官は次のように述べ、命令の詳細について言及を避けたとされる。
「作戦保全(OPSEC: Operations Security)の懸念から、サイバーインテリジェンス、計画、または作戦についてコメントおよび議論することはありません。Hegseth(国防)長官にとって、サイバー領域を含むすべての作戦における兵士の安全以上に優先される事項はありません」
そのため、命令の全容は不明とされるが、Recorded Futureは、米国家安全保障局(NSA: National Security Agency)やロシアを標的とする諜報活動への影響はないと伝えている。
また、その筋からの情報と前置きした上で、サイバー軍司令部が命令の「リスク評価」の作成を始めたと説明している。国防長官向けに作成されるこのレポートは、命令の存在を認め、その影響によって停止された進行中の作戦や任務を列挙し、ロシアの潜在的脅威の詳細を記したものとされる。
ロシアとの関係改善を模索している可能性
トランプ政権はロシアによるウクライナ侵攻を巡り、ゼレンスキー大統領を独裁者と呼び、責任をウクライナに押し付け、ウクライナ国内の鉱物資源の獲得を試みる行動を見せている。これらは米国以外の西側諸国の行動と相反しており、ロシアとの関係改善を目指しているものと推測されている。
この命令もこうした施策の一環である可能性があり、ウクライナを含む西側諸国への影響が懸念されている。ロシアは国家主導でサイバー犯罪に関与している疑いが強く、ロシアの攻撃に対抗するため米国の関与は重要とされる。そのような中で米国サイバー軍の関与がなくなった場合、ウクライナのみならず、米国および世界中の民間組織に大きなリスクをもたらす可能性がある。
米国政府がロシアとの関係改善を急ぐ理由は定かではないが、今後西側諸国は米国のサイバーセキュリティに依存せずに協力してサイバー脅威に対抗していく必要性が強まる可能性がある。今後の動向に継続して注力することが望まれる。