NRIセキュアテクノロジーズは2月27日、2024年7月から10月にかけて、日本、アメリカ、オーストラリア3か国の企業計2491社を対象に実施した、情報セキュリティに関する実態調査の結果を発表した。
懸念点は「入力可能なデータの判断」と「ルールを策定する人材の不足」
生成AIの活用用途について尋ねたところ、日本では社内の個人利用が最も多く(51.4%)、問い合わせチャットボットなどを含む顧客向けサービスで活用していると答えた割合は6.3%に留まった。
一方で、アメリカとオーストラリアでは、社内向け業務や顧客向けサービスでの活用が多く、日本と比べて活用用途に違いがあることが浮き彫りになる結果に。
また、「活用していない」と回答した割合から、何らかの形で活用している企業は、日本では65.3%であったのに対し、米国は99.2%、豪州は100%と、ほとんどの企業で生成AIを活用していることが分かった。
生成AIを活用して顧客向けサービスを提供していると回答した企業に対して、生成AIサービスの提供を検討するにあたり、懸念や課題となることについて尋ねたところ、日本では「入力可能なデータの判断」と「ルールを策定する人材の不足」と回答した企業がそれぞれ45.7%と最も多い結果となった。
米国では「利用コストの予測」(47.6%)、豪州は「ルールを策定する人材の不足」(44.4%)が最も多くを占めていることと比較すると、日本ではデータの入出力に対する懸念や課題意識が強いことが伺える結果となっている。
ゼロトラストセキュリティの実施状況
ゼロトラストセキュリティの実施状況について尋ねたところ、「ゼロトラストを全面的に実装している」または「ゼロトラストを一部実装している」と回答した日本企業の割合は、合計で21.1%となり、2年前の調査と比べると7.8%増加した。
また「ゼロトラストを検討したが実装しなかった」と回答した割合も9.1%と、同じく4%増加している。これらより、ゼロトラストを実装するかどうかを検討する段階を終えて、実装の有無を決めた企業が増えていると同社は推測している。
さらに、VPNの使用状況の調査では、約8割の日本企業が「今後も使用を継続予定」と回答した一方で、6.8%の企業が「使用停止を検討している」と回答し、2.9%は直近一年間または一年以上前に「使用を停止」したと回答した。
「使用停止を検討している」または「使用を停止した」企業に停止の理由を尋ねたところ、「ゼロトラストセキュリティ推進による脱VPN」を選んだ割合が62.2%と最も多くを占めており、サイバー攻撃の標的となりやすいVPNの利用をやめ、ゼロトラストセキュリティによるアクセス制御を強化する動きが広がっていることが分かる結果となっている。