KDDI社長に常務の松田浩路氏 「『つなぐチカラ』を異次元に」

「わたしは(高速通信規格)『5G』の成長と共に7年間社長をつとめてきた。世界は今、6Gではなく、AI(人工知能)の時代になり、今後、会社をけん引していく人材は技術に明るく、新しいビジネス領域に果敢に挑戦してくれる人材がふさわしいと考えた」

 こう語るのは、KDDI社長CEO最高経営責任者)の髙橋誠氏。

 KDDIが常務CDO(最高デジタル責任者)の松田浩路氏が社長CEOに昇格する人事を発表。髙橋氏は会長となる。いずれも4月1日付。

 これまでKDDIは通信の世代が変わるごとに社長交代すると言われてきた。今回、会長から相談役となる田中孝司氏は4G、髙橋氏は5Gの時代をけん引してきた。今後は6Gの時代かと思いきや、髙橋氏の言葉を借りれば、松田氏にはAIをどのように通信技術と融合させていくかが問われることになる。

 松田氏は1971年11月山口県生まれの53歳。96年京都大学大学院工学研究科修士課程修了後、国際電信電話(現KDDI)入社。エンジニアとして通信事業に携わり、2020年執行役員、23年取締役、24年常務という足取り。

 髙橋氏は米オープンAI CEOのサム・アルトマン氏が39歳であることを引き合いに出し、「今のAIの人たちと話していると皆若い(笑)。わたしは63歳で、ハイパースケーラーの人たちと渡り合うには若い人に託した方がいい」と話した。

 KDDIは2021年にイーロン・マスク氏率いるスペースXと衛星通信網『スターリンク』で提携しているが、松田氏はこの交渉をまとめた立役者。技術に明るく、語学力が堪能なことが社長に抜擢された要因だ。

 KDDIは首位・NTTドコモや3位・ソフトバンクとの差別化をどう図っていくか、そして昨年、約5000億円を投じて経営に参画したローソンとの相乗効果をいかに図っていくかなど、課題は山積している。

「当社の稀有なデジタルデータ資産は先端のAI技術によって新しい価値を創造する原動力となる。これらの融合を通じて、『つなぐチカラ』を新次元にアップグレードしていくことが、わたしの責務」と語る松田氏。

 通信業界を取り巻く環境が刻一刻と変わる中で、松田氏の手腕が問われることになる。

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