Splunk Services Japanとインターネットイニシアティブ(IIJ)は2月20日、共同で説明会を開き、IIJが「Splunk Observability Cloud」を活用した新サービス「IIJ 統合運用管理サービス(UOM) オブザーバビリティ」と、Splunk Cloud Platformを用いた「IIJ データ可視化ソリューション with Splunk Cloud Platform」の提供を開始すると発表した。
マルチクラウド環境における課題
両サービスはIIJが1月16日に開催した同社のマルチクラウド戦略、マルチクラウド関連の新サービス発表会で明かされたもの。
冒頭、インターネットイニシアティブ クラウド本部MSP推進部長の福原亮氏は「特化した機能を持つクラウドの出現や用途によってクラウドを使い分けるケースが増加し、マルチクラウドのニーズが高まり、複数のクラウドを使いこなすことが難しくなっている。特にマルチクラウド環境システムの状況が把握できないなど、監視・運用に課題を抱えている。当社は、こうしたマルチクラウド環境を安心して活用できるようにガードレールプラットフォームで解決していく」と述べた。
IIJが提唱するガードレールプラットフォームは、ID管理やVPNなど働く環境を支えるものと、ビジネスを変革するために必要なシステムの2つの側面を持つ。前者はデジタルワークプレイスとしてエンドポイントセキュリティやネットワーク管理などとなる。
後者はマルチクラウドMSPとして、ビジネス戦略や組織・人材、導入において人が介在しつつ計画を遂行するものであり、クラウド閉域接続といった環境、オペレーション、セキュリティ、ガバナンスなどが必要なアーキテクチャとなる
2012年から提供する「IIJ 統合運用管理サービス」の1つの機能として
同社では1月16日の発表会において、マルチクラウドのライフサイクル全般をマネージドサービスとして継続的にサポートする「マルチクラウド MSP(マネージドサービスプロバイダー)」を掲げ、2012年からマルチクラウドのシステム運用を効率化する「IIJ 統合運用管理サービス(UOM:Unified Operation Management)」を提供している。
UOM オブザーバビリティはUOMの1つの機能として提供し、Splunk Observability Cloudをエンジンとしており、従来監視では賄えないデータやサイロ化したシステムごとの運用といった、マルチクラウドにおける監視運用の課題を解決するものだという。
福原氏は「従来の監視は気を見て森を見ず、特定のインフラのみを対象としていた。オブザーバビリティはシステム全体を俯瞰的にとらえ、アプリケーションを含め網羅的に行う。扱うデータは基本的にすべてのデータを収集し、可視化して視認性を向上させるとともに、異常検知に加え、原因調査分析をツールでドリルダウン分析する」と説明。
具体的には、ユーザー操作の記録からアプリケーションのデータ、PaaS(Platform as a Service)やコンテナをはじめとしたマイクロサービスのデータなどを、システムの稼働状況を統合的に可視化。また、マルチアカウントを統合し、調査データの分散やインフラ・アプリの分断などをドリルダウン分析で早期に原因を特定できるとのことだ。
福原氏は「従来からUOMにある自動通知・復旧、チケット管理などと組み合わせれば、運用改善サイクルを実現できる。他の機能と連動して活用することは、1つ大きな強みになっている」と力を込める。
なお、UOM オブザーバビリティは「ベーシック」「スタンダード」「プレミアム」「ブラウザ外形テスト」の4プラン。価格はベーシックで1契約あたり月額4500円。
将来的にはビジネス状況の可視化などのサービス
一方、IIJ データ可視化ソリューション with Splunk Cloud Platformは、IIJサービスや各社のクラウドサービス、顧客資産のネットワーク機器など、さまざまなITサービスからシステムログを収集し、一元的に管理・可視化できるというもの。
同ソリューションを提供する意図として、福原氏は「UOM オブザーバビリティの導入・運用を経たうえで、データ分析・活用に発展していく必要があることから、そこまでを含めてソリューションとして提供していく。単に製品販売をサポートするのではなく、お客さまに伴走するような形でこのようなラインアップを同時に発表した」と話す。
また、福原氏は今後のSplunkとの協業について「この先、さらに可視化していくことを考えたときに、業務データやビジネス状況の可視化などにも踏み込めるように共同で考えていきたい」と強調していた。
なぜ、オブザーバビリティツールとしてSplunkが選ばれるのか
次に、Splunk Services Japan オブザーバビリティ・ストラテジストの松本浩彰氏がオブザーバビリティを活用するメリットについて解説した。
松本氏はオブザーバビリティツールとして、なぜSplunkが選ばれるのかについて「OpenTelemetryの技術に準拠しており、テレメトリデータをサンプリングなしで忠実に収集できる。これは技術的にはかなり至難だが、克服している。また、機械学習や生成AIを組み合わせて示唆型トラブルシューティングが可能なほか、予算管理しやすい課金体系を用意している。さらに、Splunk Platform(ログ分析)では多面的にどのような観測であろうと可視化できる」と力を込める。
とはいえ、国内におけるオブザーバビリティ普及には課題もあると松本氏は指摘する。それは、オブザーバビリティの概念は認知度が高まっているが、オブザーバビリティの獲得=オブザーバビリティツールの利用という誤解が存在していることに加え、導入したものの使いこなせていないと考えるユーザーが多数存在している。加えて、既存の運用体制・業務を変革することが難しく、運用現場への展開・定着に関するノウハウやスキルを持つ人材が欠如している。
同氏によると、可観測性がある程度高まったら終わりではなく、自分たちの可観測性とは何か、何を観測しなければならないのか、どのように協力しあうべきなのかの議論を続けていく必要があるとのこと。
このような状況を永続していくためには、ベンダーロックインされないデータ取得の仕組みや自分たちで管理を続けていく仕組みが必要となり、それに適しているのがOpenTelemetryなのだという。
松本氏は「OpenTelemetryは、自分たちがその時に最適だと思う手法を用いて組織を成長させていくことができるものであり、単一なUIを用いたトラブルーシューティング、ベストプラクティスの積極的な活用がオブザーバビリティの導入におけるポイントになる。グローバルのアンケート結果を見ると、オブザーバビリティが高い組織ほどフレキシブルかつ対応力も高まる」との認識だ。
そして、最後に同氏は「BtoCに加え、BtoBビジネスを展開する企業でもニーズがあり、幅広いお客さまにソリューションにプラスαする形で、成熟度の高いサービスが提供される必要性が国内産業の状況を見ると必須だ」と締めくくった。










