堀場製作所は、燃料電池や水電解装置の触媒として使用される貴金属をインライン測定する新製品として、CCM(燃料電池用触媒層付き電解質膜)/MEA(燃料電池用膜電極接合体)触媒塗布モニター「XV-100」を2月19日より発売することを発表した。

  • CCM/MEA触媒塗布モニター「XV-100」

    新製品のCCM/MEA触媒塗布モニター「XV-100」(出所:堀場製作所)

燃料電池/水電解装置における貴金属管理に貢献

カーボンニュートラル社会の実現に向け、重要なエネルギー源として注目度が高まる水素関連市場では、世界的に技術開発が加速している。しかしその中では多くの課題も生じているといい、そのひとつにPEM(固体高分子電解質膜)型燃料電池/水電解装置の性能向上が挙げられる。同燃料電池および同装置は、高いエネルギー変換効率や迅速な起動・応答性を特徴とすることから広く開発や導入が進んでいる一方で、その重要部材として用いられるCCMやMEAには、高価かつ希少な貴金属の白金(Pt)やイリジウム(Ir)の使用が不可欠であるため、コスト面での負担が大きく、塗布量や厚みなどの管理が問題だったという。

こうしたニーズに応えるため堀場製作所は、HORIBAグループが有するコア技術のひとつである“蛍光X線技術”を活かした元素分析装置を提供。その性能を進化させ、PtやIrがロールtoロールプロセス上で塗布される量を、高速かつ連続的に非破壊・非接触でインライン測定できる新製品として、XV-100を開発したとする。

性能向上に加え取り付けの柔軟性にも強み

同製品では、長い寿命を有するX線管と独自設計の高性能な光学系を採用することで、高感度かつ安定的な測定を長時間にわたり可能にするとのこと。その応答速度は最短0.01秒から分単位で設定でき、塗布された貴金属の厚みの均一性などを厳格に監視することで、高精度で高速な連続測定を実現し、生産性向上や品質管理強化に貢献するという。またトラバース機構への装置取り付け位置の調整機能や、設定したと不良に対する合否判定機能なども搭載しており、導入する生産ラインに応じた柔軟な対応が可能だとする。加えて、すでに利用中のシステムに測定データを組み込んで管理することで、各プロセスに複数台の装置を導入した場合でもデータを一括管理することができるため、統合データマネジメントも実現できるとしている。

  • トラバース機構への取り付けイメージ

    トラバース機構への取り付けイメージ。(左)多様な形式のインライン測定に対応可能。(右)顧客のニーズに応じて柔軟なレイアウトでの設置が可能(出所:堀場製作所)

また、XV-100はA4サイズ(310mm×150mm×220mm)で重量は約8kgと、コンパクトな装置設計となっているという。そのため工程内の限られたスペースでもダイレクトに設置可能な上、メンテナンスの際にも他装置と干渉しにくく、取り外しや移動がしやすいため、作業効率の向上にも寄与するとした。

なお堀場製作所は新製品の希望販売価格について1800万円~(税別)としており、5年間の累計で105台の販売を目指すとのこと。また2月19日から21日まで東京ビッグサイトで開催される「H2&FC EXPO ~水素・燃料電池展~」でも展示予定だとする。同社は、水素をはじめとする新エネルギーを効率的に「つくる」「ためる」「つかう」ためのあらゆるプロセスに、分析・計測の側面から最適な分析・計測技術を提案することで、カーボンニュートラルの実現に貢献していくとしている。