東日本旅客鉄道(JR東日本)、日立製作所、日本建設工業、三菱HCキャピタルの4社は2月18日、東京都港区の「TAKANAWA GATEWAY CITY」において、再生可能エネルギー由来の水素を活用するオフサイト型水素サプライチェーンを構築し、3月27日より運用開始することを発表した。

  • オフサイト型水素サプライチェーン 構築イメージ

    オフサイト型水素サプライチェーン 構築イメージ

このプロジェクトでは、千葉県市原市にある日本建設工業の関東総合センターで太陽光発電を利用して製造された水素を、水素吸蔵合金カセットに充填して高輪ゲートウェイ駅へ輸送し、駅内に設置する純水素燃料電池システムへ供給する。

この水素を利用して発電した電力は、自動走行モビリティの充電エネルギーとして活用される。三菱HCキャピタルは水素充填装置の資金提供を行い、運搬時に発生するCO2をJ-クレジットで相殺することで、実質CO2排出ゼロの環境配慮型エネルギー供給を実現する。

また、カセットに充填された水素を利用して発電するため、JR東日本はTAKANAWA GATEWAY CITYにおける水素活用のファーストトライアル(フェーズ1)として、高輪ゲートウェイ駅に純水素燃料電池システムを導入。蓄電池より高い保管性を持ち、BCP(事業継続計画)用途にも適したPEFC方式を採用する。さらに、純水素燃料電池システムは独立運転が可能で、災害時の非常用電源としても利用できる。水素供給には非危険物認定の水素吸蔵合金カセットを使用し、安全な供給・運搬・保管を実現する。システムの設計・構築は日立が担当する。

  • 再生可能エネルギー由来水素の供給(水素の製造・充填・運搬)

    再生可能エネルギー由来水素の供給(水素の製造・充填・運搬)

再生可能エネルギー由来の水素で発電した電気は、自動走行モビリティの充電に使用する。水素電力で走るモビリティがTAKANAWA GATEWAY CITY内を巡り、環境に優しく快適な移動体験を提供する。ファーストトライアルのフェーズ2では、再生可能エネルギー由来の水素を街中で製造することを検討しており、これによりTAKANAWA GATEWAY CITYで水素の「地産地消」を実現し、水素社会の実現に貢献していく計画だ。

  • 設置箇所(高輪ゲートウェイ駅)

    設置箇所(高輪ゲートウェイ駅)

各社の役割は、全体アレンジを三菱HCキャピタル、水素の製造・充填・運搬を日本建設工業、水素製造場所を日本建設工業 関東総合センター(千葉県市原市)が担当する。また、水素充填装置のファイナンス提供およびJ-クレジット調達は三菱HCキャピタルが行う。

設備構成は発電ユニットが出力350W、PEFC方式(2台)、燃料ユニットはカセット装填数4個(2台)、UPSユニットは約1,800Wh(1台)、分電盤 は自立運転制御コントロール(1台)、水素吸蔵合金カセットが最大水素充填量1.3Nm3(16台)。

  • 左上:燃料ユニット、右上:水素吸蔵合金カセット、下:純水素燃料電池システム(いずれもブラザー工業製)

    左上:燃料ユニット、右上:水素吸蔵合金カセット、下:純水素燃料電池システム(いずれもブラザー工業製)