国内の新築マンション発売価格は、高値水準が続いている。特に不動産経済研究所が1月23日に発表した東京23区で24年に発売された新築マンション1戸当たりの平均価格は、前年に比べて2.6%下落したものの1億1181万円となり、2年連続で1億円台を記録。建築資材だけでなく、残業規制強化の動きを背景とした人件費などの増加分を販売価格に転嫁せざるを得なくなっているため、「当面、コストが下がる見込みがない」(不動産関係者)との見方は多い。
首都圏全体では、1戸当たりの価格は3.5%減の7820万円。価格上昇は首都圏全体に及んでおり、東京23区を除く都内では8.9%増の5890万円、神奈川県が6%増の6432万円、埼玉県が13.8%増の5542万円、千葉県が18.9%増の5689万円といずれも上昇傾向が顕著だ。
一方、発売戸数は14.4%減の2万3003戸と1973年の調査開始以降で最も少なくなった。建設費増に伴う工期延期や人手不足を背景とした着工の遅れが需給を逼迫させ、発売価格が下がらない要因にもなっている。
こうした中、日銀は24日の金融政策決定会合で、追加利上げを決めた。政策金利は現在の0.25%程度から0.5%程度へ、約17年ぶりの水準に引き上げられる。25年春闘では、大企業などを中心に高い賃上げ水準が実現する可能性が高く、金融市場では日銀が年内にもう一段の利上げを行う余地があるとの見方がくすぶる。
住宅ローンを取り扱う金融機関の動向について、中野洋昌国交相は「(昨年の日銀による利上げの際は)住宅ローンの変動金利は政策金利の引き上げ幅ほどの影響は出なかった」とするが、新築マンション市場の価格高騰を受けて需要が流れた中古マンション市場でも販売価格は上昇傾向にある。
今夏に参院選を控える中で、家計への影響に不満が強まれば、何らかの対策が必要になる可能性もありそうだ。