【農林水産省】牛肉の対中輸出再開協定 早期発効へ協議

江藤拓農水相は1月15日から17日にかけて中国・北京を訪れ、中国税関総署の王令浚副署長、韓俊農業農村相とそれぞれ会談した。日本の農水相が中国を訪問したのは、2019年4月の吉川貴盛氏以来約4年9カ月ぶり。江藤氏は17日の韓氏との会談で、日本産牛肉の輸出再開に必要な協定の早期発効に向けて意思疎通を継続することで一致した。

 中国は日本でBSE(牛海綿状脳症)が発生したことから、01年以降、日本産牛肉の輸入を禁止。両国政府は19年11月に「日中動物衛生検疫協定」に署名したものの、まだ発効していない。江藤農水相は韓氏について、「大変前向きであると感じた。協定を発効するということは、目前まで再開が迫っているということを意味する」と自賛した。しかし、「再開は容易ではない」(関係者)との見方は根強い。

 江藤農水相は、王副署長との会談では日本産水産物の輸入規制の撤廃を求め、精米の輸出拡大も話し合った。日本が中国にコメを輸出する場合、中国が認可した工場や施設で精米し、害虫を駆除する必要がある。

 中国向けの精米工場は北海道石狩市、神奈川県綾瀬市、兵庫県西宮市に計3カ所、害虫駆除の施設は北海道小樽市、山形県酒田市、兵庫県神戸市、熊本県八代市に計5カ所ある。江藤農水相は、これらの工場や施設を増やすように促した。

 江藤農水相が訪中する前にも、自民党の森山裕、公明党の西田実仁の両幹事長を始めとする議員団が1月14日、中国共産党幹部との「日中与党交流協議会」を開いて、こうした問題への対処を求めた。昨年12月25日には岩屋外相が中国の王毅外相と会談し、日本産牛肉の輸入再開と精米の輸入拡大に関する当局間協議の早期再開を確認している。

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