デル・テクノロジーズ(以下、デル)は2月13日、Windows 10サポート終了に向けた対応動向と中小企業のIT環境動向に関する調査結果を発表した。Windows 10のサポート終了が2025年10月に迫る中で、セキュリティパッチの提供停止によりランサムウェアなどの脅威に対するリスクの高まりが懸念される。今回の調査では、企業のWindows 11への移行状況や直面している課題を明らかにするとともに、PCのリプレースやOSのアップデートに関連するライフサイクルやPC運用について分析している。
調査実施の背景
少子高齢化と人口減少が進む中、企業における人材確保はますます困難になっている。その一方で日本の生産性は先進国において最も低いとされており、生産性の向上と人材不足の解消が期待されている。そのためにDX(デジタル トランスフォーメーション)による業務改革や生成AIの活用が注目される。こうした状況の中で、今回の調査では中小企業におけるビジネスの課題とIT投資、そしてAI導入の現状と課題についても分析した。
調査結果のハイライト
Windows 11への対応状況について聞いたところ、約7割の企業がWindows 10サポート終了までにWindows 11対応を計画していたという。また、6割の企業が社内の半数以上のPCがすでにWindows 11への移行済みだった。
Windows 11対応の課題としては、特に課題はないと回答する企業が多数だった。一方で、互換性やコスト、工数を課題とする企業も見られた。Windows 11対応とIT投資を分析すると、多くの企業がセキュリティ対策に関心を持っていた。PCの運用管理においては、リプレース関連業務とトラブル対応の負担感が大きいとの回答が得られた。
中小企業のITインフラ同行について質問すると、約半数の企業が人材不足を挙げていた。さらに、コスト上昇や情報セキュリティ対策も上位となった。サーバの導入状況では、企業規模に比例して導入企業が増える根強いオンプレミスサーバのニーズがあるという。また、サーバ導入企業の8割がファイルサーバを利用していた。今後のサーバの運用形態は、クラウドシフトよりもクラウドとオンプレミスの適材適所での移行の利用がうかがえるという。
中小企業におけるセキュリティー対策動向を調査したところ、セキュリティリスクへの認識では、ランサムウェアやサイバー攻撃、ビジネスメール攻撃に高い懸念が見られた。情報セキュリティ対策の現状はリスク意識が高い一方で、セキュリティ対策は不十分だった。中小企業におけるITインフラの運用管理は、IT人材の不足がDX推進の妨げになっている一方で、運用管理業務は負担の大きな自前主義が主流だ。
続いて、生成AIへの取り組みを聞くと、約6割の企業がAI導入に興味・関心を持ち、4割の企業が導入済みか導入を検討中だった。具体的な活用に関する情報不足が導入の障壁になっているそうだ。生成AIは人材不足を補う業務への活用に期待が集まっており、今後の導入拡大に向けては生成AI導入のノウハウや効果に関する情報が求められている。