富士通は2月13日、機密性の高いデータをプライベート領域で管理しながらオンデマンドに生成AIを利用可能な「Fujitsu クラウドサービス Generative AI Platform」の提供を開始することを発表した。2025年度から日本国内でトライアル利用の受付を開始し、順次グローバルにも展開する。

同サービスはエフサステクノロジーズの生成AI基盤「Private AI Platform on PRIMERGY」、SupermicroのGPUサーバ、AIサービス「Fujitsu Kozuchi」の企業向けLLM(Large Language Models:大規模言語モデル)「Takane」、生成AIセキュリティ強化技術などを組み合わせて提供する。他社製LLMなどを含めて順次拡充予定。

提供の背景

企業における生成AIを活用した生産性向上においては、企画時のアイデア検討や議事録作成、プログラムコードの自動生成など汎用性が高い業務領域では普及が進みやすい一方で、機密情報や個人情報を取り扱う業務ではAIによる意図しない学習リスクや情報漏洩、情報の保管場所に対する社内規定などの課題があり、生成AIの活用が限定的とされる。

そのため、機密性が高い情報を安全に保管しつつ業務に活用できる生成AIサービスが求められている。そこで富士通は、顧客のデータをプライベート領域で管理でき、ユーザーが生成AIで機密情報を扱えるように富士通のデータセンターからオンデマンドで利用可能なクラウド型生成AIサービスの提供を開始する。

富士通は同サービスを「Fujitsu Computing as a Service」のラインアップに生成AIサービスとして追加する。生成AIの業務利用における初期導入から継続的改善までをトータルで支援し、生成AIを活用した業務効率化や生産性向上を支援するとのことだ。

「Fujitsu クラウドサービス Generative AI Platform」の特長

Fujitsu クラウドサービス Generative AI Platformは、データをユーザー企業ごとに割り当てられたクラウド上のプライベート領域に保管する。これにより、社内規定や経済安全保障上の懸念などからパブリッククラウド上にデータを保管できない業務においても、機密性の高い情報を生成AIで活用できるようになる。

ファインチューニング用のデータや、ファインチューニング後のLLM RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)のデータをプライベート領域に保管することで、ユーザーが保管したデータが意図しない学習に用いられることを防止する。

また、同サービスではデータをプライベート領域へ確保する一方、推論および学習用GPUサーバを共有型で提供することで時間当たりの利用コストを削減している。推論用・学習用に標準化されたGPUサーバを使用することで、生成AIシステムに必要な全ての環境を個別に構築する場合と比較して初期費用を抑えながら利用を開始できる。

なお、Fujitsu クラウドサービス Generative AI Platformと同等のサービスをオンプレミス環境で利用したい場合には、エフサステクノロジーズより「Private AI Platform on PRIMERGY」およびSupermicroのGPUサーバとシステム構築や運用サービスを提供する。

  • Fujitsu クラウドサービス Generative AI Platformの利用イメージ

    Fujitsu クラウドサービス Generative AI Platformの利用イメージ