OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏は2月12日(米国時間)、AIモデルの新たなロードマップを公表し、GPT-4.5およびGPT-5の提供計画を明らかにした。これまで予定されていたo3モデルの単独リリースは中止され、その技術の多くはGPT-5に統合される。
OpenAIは昨年末、o3モデルを2025年初頭にリリースする計画を示していた。しかし、アルトマン氏はX(旧Twitter)での投稿において、「製品ラインナップを簡素化し、AIをより直感的に使えるようにする」ことを理由に、o3の単独リリースを取りやめると発表した。
この決定の背景には、現在のChatGPTにおける「モデルピッカー」(モデルの選択機能)が複雑になりすぎているという課題がある。ChatGPT Plusプランでは、12日時点でレガシーモデル(GPT-4)を含め、7つのAIモデルがモデルピッカーに並んでいる。
アルトマン氏はモデルの複雑化について「私たちは皆さんと同じようにモデルピッカーを嫌っており、(かつての)魔法のような統一されたインテリジェンスに戻りたいと思っている」と述べた。
これは従来のGPTシリーズと、昨年9月に登場した「OpenAI o1」から続くChain-of-Thought(CoT:思考の連鎖)モデル・シリーズの統合を意味する。パターン照合型のGPTシリーズは学習パターンに基づいて即座に応答するが、論理的な推論能力は限定的で、事実に基づかない回答や誤った推論が含まれる場合がある。一方、段階的な思考プロセスをたどる思考型(CoT)モデルは、誤りを回避し、複雑な問題を解決する能力が高いが、推論に時間を要する。アルトマン氏は「全般的に、非常に幅広いタスクに対応できるシステムを作ること」を目標に、全てのツールを使用でき、じっくり考えるべき時とそうでない時を判断できるシステムの提供を目指すとしている。
GPT-5によるChatGPTでは、無料プランでも前世代のAIモデルではなく、標準インテリジェンス設定でGPT-5を利用できるようになる。Plus加入者は、より高いインテリジェンスレベルでGPT-5を利用できるようになり、これには音声、キャンバス、検索、ディープリサーチなどの機能が組み込まれる。
アルトマン氏はGPT-5のリリース時期について「数カ月以内」としている。その前に、数週間以内にGPT-4.5をリリースする予定である。GPT-4.5はGPT-4oのアップデート版となり、従来のGPTシリーズにおける最後のモデルとなる。
アルトマン氏はXの投稿で、モデルピッカーの複雑化が製品ロードマップ変更の主な理由であると説明している。しかし、1月に行われたRedditのAMAにおいて、同氏は、中国のDeepSeekによってOpenAIのAI技術的優位性が縮まったことを認め、競争力を高めるために「いくつかのリリースを前倒しする」と述べていた。