ニチコンは、最大6台のバスやトラックといった商用EV(電気自動車)に、1台ずつ繰り返し順番に急速充電する、業界初の「サイクリックマルチ充電器」(NQR-UC904シリーズ)の開発を完了。運輸事業者向けに、7月に発売する予定。
商用車の基礎充電において、電池容量の大きな車両に毎日充電するためには充電能力や複数車両の充電、電気料金、設置スペース、充電管理といったさまざまな点で課題を抱えている。同社はそうした課題解決に向け、サイクリックマルチ充電器を開発し、商用EVを導入する事業者に提案していく。
主な特徴は以下の通り。
- 複数台のEVを高出力サイクリック充電
- 充電電力のピーク抑制
- 設置自由度の高さ
- CMC(Cyclic Multi Charger)用サーバによる充電管理
サイクリック充電は、複数台のEVに輪番(サイクリック)で充電する充電方式のこと。新製品の定格出力は1口あたり最大90キロワットで、最大6台のEVに対して順番に最大出力で充電でき、充電器の能力を最大限に活かしながら効率的に充電できるとする。充電方式はCHAdeMO Ver.2.0.2(認証取得済)。
従来の充電器で複数台のEVを同時充電する場合、各充電器の合計出力に応じた大容量の受電設備が必要となり、ピーク電力の増大によって電気基本料金の上昇にもつながるという課題があった。新製品ではこうした場合も最大充電電力が一定のため、受電設備投資と電気基本料金を抑制できるとのこと。
電源盤とスイッチャーボックス、ディスペンサに分かれたセパレート構造で、設置自由度を高めたのも特徴。駐車スペースを有効に活用でき、充電器設置による車室の減少も防げるという。
ディスペンサはスリムで省スペースなデザインで、壁掛け・ロースタンド・トールスタンドの3タイプを用意。トールスタンドにはケーブルマネジメント機能を備え、充電ケーブルを取り回ししやすくした。ケーブルの長さは、5mと8.5m(オプション)を用意する。
騒音源となる電源盤は、隣接する住宅地から離れた場所に設置することで防音対策ができ、周辺施設への騒音問題も回避できるようにしたという。
各車両の充電はCMC用サーバで制御し、複数台のEVの効率的な充電を追求。車両と紐づけたカード認証により、車両毎の充電管理が容易に行えるのも特長で、パソコンやスマートフォンを利用して事務所など充電器と離れた場所から、充電状態の確認や設定変更などが行えるとのこと。