アジレント・テクノロジーは1月27日、同社の分析機器を使用して顧客がサンプルをテストしたりデモを行ったりできる「芝浦ラボ」の改装が完了し、公式にリニューアルオープンに至ったことを発表した。
それに併せる形で1月24日にメディア向けに内覧会を実施。新たなラボに込めた思いなどの説明を行った。
あらゆるアジレントの最新分析機器が試せるラボ
新たな芝浦ラボのコンセプト(テーマ)は「顧客中心の多彩なソリューションを体験をしてもらえる“近い”ラボ」というもの。現在、同社ではグローバルでブランディングに注力しており、芝浦ラボのリニューアルにおいても、グローバルとしての統一感のある内装にするべく、デザインやコンセプトを含め、もっと良いものにできるのではないかといった視点でさまざまな議論を繰り広げ、時にはアジア地域の統括者や本社の役員などが来日した際にアイデアをもらうなど、窓1つとっても、そこにあった方がいいのか、ない方がいいのかといった具合に細部にまでこだわったという。同社ラボラトリーソリューション本部長の音川真多郎氏は「日本市場に積極的に投資を行っていくというグローバルとしての意向を踏まえた、アジレントとして日本を重視しているというメッセージも含まれている」と、リニューアルにかけた思いを語る。
そうした思いを体現したリニューアルでは、従来は分析ソリューションのラボとしての面積は202m2ほどで、残りは分析機器のサポート向けトレーニングスペースであったが、このサポートのためのエリアを八王子本社に移管する形で増床を実現。274m2へと拡張が図られることとなった。
この結果、これまでの芝浦ラボはスペースの関係上、無機分析装置やガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)が置かれていたが、リニューアル後には、さらに液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)も設置されたほか、これらの分析機器をネットワークで接続して、ブラウザ上で状況確認などを可能とする「OpenLab」なども目の前で動作を確認することができるソリューションとして体験できる場となったとする。
芝浦ラボにはアジレントの最新の分析装置が配備される。2024年11月に発売されたばかりのLC「Infinity III LCシリーズ」もリニューアルオープン時点で2台設置されていた。これらの分析機器すべてがOpenLabで接続、管理されている様子などもラボ内で見ることができる
近くてすぐに試しに行けるラボ
同社は芝浦ラボのほか、本社の八王子ラボ、そして関西方面をカバーする大阪ラボの3か所に顧客が実際に最新ソリューションを体験できる体制を整えている。その中で、芝浦ラボの改装は、関東近隣の顧客にとって気軽に訪れやすい場所で最新の装置、アプリケーション、データ管理などのソリューションすべてを体感してもらうという重要な位置づけとされており、音川氏も「クロマトグラフィ、質量分析、元素分析、分子分光分析、パソロジーといった分析機器と医療機器の両方が設置されているラボはここだけ」と、その重要性を強調する。
また、立地はJRの田町駅と高輪ゲートウェイ駅の間で、東海道新幹線の品川駅からもほど近いほか、羽田空港からもアクセスしやすいことから、「利用してもらいやすいロケーションを含めて顧客に活用をアピールしていきたい」(音川氏)とのことで、アクセスの良さと最先端ソリューションの体感の2つを武器に積極的に案内を行っていきたいとする。
すでに同社では3月および4月の水曜日に隔週で芝浦ラボにて毎回6人程度の枠組みでHPLCのワークショップ「アジレントHPLC基礎と実現」を開催する予定(大阪ラボでも隔週で開催予定)としており、HPLCによる分析・データ解析・レポート出力まで体験してもらうほか、メンテナンス方法や各種の便利な機能、自動化などのレクチャー、加えて個別相談やディスカッションなども交える形でラボの実力を体感してもらうことを予定しているという。こちらは、後日、同社のWebサイト上にて募集を開始する予定で、今後も継続してさまざまな形式やテーマのワークショップの開催も行っていくとしている。
音川氏はこのリニューアルについて、「近くて行きやすい場所にあるということで、ステップを踏んで、確実に分析できるということを実感してもらいやすい環境が構築できたと思う。さまざまな分析ニーズに対応するには、分析機器と分析メソッドの両方が必要であったり、前処理などを含めた一連のワークフローに対する理解なども必要となる。例えば話題のPFASについても、試料を分析機器に投入する前段階として前処理が必要だが、芝浦ラボではそうした前処理用の消耗品のキットなども用意しているため、前処理から実際の分析、その結果の確認までトータルのワークフローを体感できるようになっている」と評価しており、アジレントから一方的に高性能な分析機器を売り込むのではなく、まずは実際に顧客自身でその能力や使い勝手などを体感してもらって、その実力に納得してもらったうえで、次のステップに進むために活用してもらいたいとしている。
なお、芝浦ラボに設置されている最新のソリューションを活用した分析デモや顧客サンプルの分析などを体感したい場合は、基本や予約制となるため、同社の営業担当に連絡を入れる形で訪問日などの調整を行う必要がある点に注意が必要となる。基本的には、同社がサービスを提供しているすべての業界を対象としており、もし担当営業が付いていない企業や団体の場合、同社のWebサイトや電話にて問い合わせをしてもらいたいとしている。