コーセーはインド市場における事業強化のため、インドでスキンケアブランド「foxtale」を展開するフォックステイル社と戦略的提携の契約を締結した。すでに同社の株式を10%取得している。今後、コーセーはfoxtaleブランドに対して商品開発などをサポートし、フォックステイル社からはインド市場におけるマーケティングの知見を得ていく。

  • コーセーが、インドの新興化粧品企業と提携した

    コーセーが、インドの新興化粧品企業と提携した

地域に根付いたブランド確立へ

インドにおけるビューティ&パーソナルケア市場の規模は約2兆5000円におよび、今後も伸長が予測される。なかでもスキンケア、メイクアップ化粧品は高い成長率が期待される分野となっている。

  • グローバルサウスの化粧品市場の状況。最大のマーケットはインド市場

    グローバルサウスの化粧品市場の状況。最大のマーケットはインド市場

フォックステイル社は、ロミータ・マズムダール氏が2021年にインド・ムンバイ市で創業したD2C(Direct to Consumer)を中心に展開する化粧品会社。消費者の声を元に徹底的に試作を繰り返し、消費者の評価を元に発売を決める事業方針が多くの支持を集め、インドのプレミアムマス化粧品市場において著しい成長を遂げている。

  • foxtaleブランドの商品イメージ

    foxtaleブランドの商品イメージ

一方、コーセーは2013年にインドの現地法人として「コーセーインディア」を設立。2014年には市場のニーズに応えるスキンケアブランド「Spawake」(スパウェイク)を立ち上げて市場開拓を進めてきた。

しかしマーケット環境が劇的に変わる中で、ここ数年間は存在感を発揮できず、この先も厳しい状況が予想されていた。そこで今回、インドで急成長しているフォックステイル社と締結。同社からマーケティングの知見やノウハウを学び、インド市場におけるプレゼンスの向上を目指す。なお、早い段階でフォックステイル社と合弁会社を設立し、共同事業も展開していきたい考え。

コーセー代表取締役社長の小林一俊氏は「当社では中長期ビジョンの中で『現地起点のマーケティング・モノづくりへの転換』を掲げています。これまでは、日本の消費者に向けて開発された商品を海外に持ち込むことも多かった。これからは地域に最適な商品を開発し、地域に根付いたブランドを確立していきます」と説明する。

  • コーセー 代表取締役社長の小林一俊氏

    コーセー 代表取締役社長の小林一俊氏

  • 中期戦略のコアとなる考え方

    中期戦略のコアとなる考え方

コーセーのDNA、フォックステイルのブランド展開力で急激な成長を

小林社長は、フォックステイル社のロミータ・マズムダール氏について「その志の高さと誠実さに感銘を受けました」と紹介する。

「彼女はインドの片田舎の弁護士の家に生まれ、地元で初めてアメリカの名門大学に進学した秀才です。アメリカの大手金融機関でキャリアを積んだ後にインドに戻り、ついに夢であった化粧品会社を立ち上げました。大きな志と良い意味での野心を持ち続けており、コーセーの創設者である小林孝三郎と重なる部分もありました」(小林社長)

今回の提携により両社の成長を加速していく、新しい挑戦を続けられると確信した、と期待を込めた。

  • Foxtale Consumer Pvt. Ltd.のFounder&CEOであるRomita Mazumdar氏

    Foxtale Consumer Pvt. Ltd.のFounder&CEOであるRomita Mazumdar氏

ロミータ氏は、フォックステイル社を起業したこと、そしてコーセーと提携したことが「人生における2つの大きな決断だった」と切り出すと、「コーセーは今後、何世代にも渡って存在し続ける素晴らしいブランド。関係者の皆さんと話を重ねていく中で、たくさんのインスピレーションも与えていただきました」と笑顔をつくる。

  • 合弁会社の設立を見据えた両社によるシナジーについて

    合弁会社の設立を見据えた両社によるシナジーについて

質疑応答の時間がもうけられ、小林社長、ロミータ氏がメディアの質問に回答した。Spawakeブランドの今後について聞かれると、小林社長は「インド市場にSpawakeを展開して10年が経ちます。フォックステイル社は創業して4年あまりですが、私たちが10年間コツコツと苦労して販売してきた、はるか何倍も大きな売上を誇っています。同社はインド市場が劇的に変化するなかでデータマーケティング、消費者調査を徹底的に行い、商品を販売してきた。私たちも、もっとスピード感をもってやるべきだった、と反省しています。ロミータ氏からは、すでに『もっとこうしたら良いんじゃないか』というアイデア、たとえば商品コンセプト、パッケージのデザインまで含めたクリエイティブな提案をしてもらっています。これまでの10年間よりはるかに大きなビジネスを、今後の10年間でできるのでは、と感じています」と話す。

  • インド市場における競合の参入状況

    インド市場における競合の参入状況

ロミータ氏も、インド市場における事業展開のカギとして「消費者のインサイトを入念に分析することだと思います」と説明する。

「たとえば、インドは気温の高い国です。そして公共交通機関で通勤通学する人も多いのが特徴です。そうした環境下においては、乳液ひとつとっても保湿効果が長時間にわたって維持されることが求められます。こうしたデータをもとに、社内のR&D(研究開発)チームが商品を作り上げていく、ということを私たちは徹底してきました」(ロミータ氏)

コーセーとの連携で実現したいことを聞かれると「今後、コーセーがインド市場におけるマーケットリーダーになると確信しています。アメリカで生活していたときからブランドを知っていましたし、化粧品の効果も高く、非常に強力なR&Dチームも持っています。インドでは高等教育を受ける人の割合が増加しており、所得も上がってきているので、とても良いタイミングで両社が提携できたと感じております。コーセーのDNA、私たちのブランド展開力で、これから急激な成長を遂げていけたらと期待しています」と話した。

  • コーセー×フォックステイル社が提携で目指す方向

    コーセー×フォックステイル社が提携で目指す方向