オルツは1月8日、日本M&AセンターとAIクローン技術を活用したM&Aマッチングシステム「CloneM&A」の実証実験を開始することを発表した。中小企業のM&Aにおいてクローンマッチング技術の実用化に挑戦するという。

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CloneM&Aについて

CloneM&AはLLM(大規模言語モデル)を活用して売手企業のクローンを生成し、データベース内の数千の買手企業クローンと仮想面談を行うAIマッチングシステム。複数の買手企業とのマッチングスコアやシナジーを算出し、適切なマッチング候補先を探索可能だという。

このシステムはオルツが強みとするクローン生成技術を活用して、企業が保有する音声データや事業資料といったデータを学習する。従来の属人的なキーワードマッチングとは異なりマッチング精度の高さが特徴だという。

試験運用においては、マッチング過程における秘匿性の高さや、M&A検討初期から納得感のある買手企業探索を提供できる点が評価され、申込率、マッチング率、成約率においてM&A業界平均を大きく上回る成果を記録したとのことだ。なお、同システムは2025年1月以降に一般提供開始予定。

実証実験の背景

昨今は経営者の高齢化に伴う事業承継問題が社会課題となっている。特に後継者の不在を理由に黒字廃業リスクを抱える企業は全国で60万社を超え、このうち約20万社については特に廃業リスクが高いと指摘されている。なお、これら20万社の経営者の多くが70歳以上だという。オルツによると、事業承継までの期間を約5年と仮定した場合、20万社の事業継承を行うには年間4万社規模のM&Aが必要となるが、2024年時点のM&A成約件数は年間4000件程度にとどまるのが現状だ。

M&A仲介事業者の数は過去5年で3倍以上に増加したものの、業界平均ではM&Aアドバイザー一人あたりの年間成約件数は平均1件程度、成約率は2割程度と低水準で推移しており、事業承継の課題を抱えたまま行き場を失う企業も多数存在しているそうだ。

実証実験の社会的意義

オルツは今回の実証実験を、M&A業界が直面する構造的な課題を解決し、社会的インパクトの創出を目指す取り組みだと位置付ける。日本M&Aセンターがこれまで培ってきた知見と、オルツのAIクローン技術を融合させることで、M&A領域における新たな可能性を見出すことを狙う。

具体的には、日本M&Aセンターの業務特性やニーズに対応したCloneM&Aのプロトタイプを構築し、検証用データを用いてマッチング精度やその実用性を検証するとともに、日本M&Aセンターによる専門的かつ実践的なフィードバックに基づいてCloneM&Aが実際の業務にどのように貢献できるかを検証する。