兼松とアイルランドのエネルギーITソリューションプロバイダーであるGridBeyondは12月26日、11月に電力の需給バランスを調整し、再生可能エネルギーへの転換を促す取り組みである「デマンドレスポンス」を日本で推進し、普及させるための業務提携に関する覚書を締結したことを発表した。

デマンドレスポンスとは

デマンドレスポンスは、電力需給がひっ迫した際、電力需要家(電力利用者)が電力使用を制御することで需給バランスを調整し、かつ省エネにつなげる取り組み。日本では、2023年4月に改正された省エネ法により、一定以上の電力を使用する事業者は、デマンドレスポンスの実施日数の報告が義務化された。

太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、発電量が時間や天候に左右されやすい変動電源のため、需給を合わせることが難しいという課題があり、普及のためにはデマンドレスポンスなどの需給調整の仕組みを拡大させることが必須となる。

さらに新たに開設された電力市場によって、対象の事業者は入札を通じ、電力削減への対価として収益を得ることが可能となった。デマンドレスポンスは、収益の獲得や電気料金の削減といった経済的なメリットに加えて、電力需給ひっ迫の緩和や、温室効果ガス排出削減に向けた再生可能エネルギーの普及といった社会課題の解決にも寄与できる取り組みとなっている。

業務提携について

GridBeyondは、独自のAIやロボットなどの最先端技術を活用し、デマンドレスポンスを通じた効率的な電力取引を代行(アグリゲーション)を行う。すでにアイルランド、イギリス、アメリカ、オーストラリアの900ヶ所を超える設備で、合計2.6ギガワットの電力負荷を制御した実績があり、そこで得た知見と最新の電力市況に係る情報を基に、顧客に沿った最適な取引戦略を立てられることを強みとしている。

また顧客の利益を最大化するため、ワンストップで一連の流れ(価格などの予測データ・設備の制約・市場機会と設備に適した取引計画の検討・リアルタイム⼊札など)を自動で行っていることも強みの一つ。

一方の兼松は、4月から開始した中期経営計画「integration 1.0」の目指す姿として「効率的かつ持続可能なサプライチェーンの変革をリードするソリューションプロバイダー」を掲げている。

  • 業務提携の仕組み

    業務提携の仕組み

GridBeyondのソリューションを、兼松が提供可能なGX(グリーントランスフォーメーション)ソリューションのラインアップとして加え、兼松グループや、幅広い分野の取引先へデマンドレスポンスの推進を促進する。そして、同社グループや顧客のGX推進を通じて、持続可能な社会の実現を目指していきたい構え。