「ChatGPT」のリリースから2年。この間、生成AIはその便利さからあっという間に浸透した。それなしの業務や生活が考えられないという人も多いのではないか。米国の一般人を例に見てみよう。

趣味やアート、健康管理

テキサス州に住む80歳のJudith Kingさんは、趣味の手作りキャンドルに貼るラベルで生成AIを取り入れている。「絵を描くのが苦手で、これまでは殺風景なラベルしか作れなかった」と語るKingさん、ある日「Microsoft Copilot」の存在を知り、ラベルを作ってみたところ気に入った。

お気に入りはラズベリーバニラの香りのキャンドル。「陶器の器から木製テーブルにこぼれる新鮮なラズベリーと、古風なバニラの瓶が描かれたラベルを作った」と、嬉しそうに語っている。Kingさんはグリーティングカードの絵もCopilotで作っているという。生成AIと会話しながら伝えたいメッセージに合うイメージを作っているのだそう。

アートでは、オレゴン州のMimi Garrity Denmanさんが水彩画で活用している。作品を改善するにあたって、アドバイザー的にChatGPTを使ったという。

ChatGPTによる、6つのアドバイスの中には「桟橋のある船着き場を描いた絵で、桟橋で水のコントラストをもっと強くしたり、建物の影のコントラストをもっと強くするなど、具体的で的確なアドバイスをAIからもらった」と語る。ChatGPTは終わりに「Happy Paiting(絵を描くのを楽しんで)」とコメントしたそうだ。

健康管理で利用しているというのは、テキサス州ダラスに住むRobert Garrison氏。使っているのはAnthropicの「Claude」だ。健康診断の値を入力し、同年代の人と比較したり、改善のアドバイスをもらったりしているという。食事と運動についてのアドバイスももらい、実践したところ次の健診での数値が改善したと報告している。

実用的な問題を解決するのに役立つ場合も

強迫性障害の傾向があるというLuca Papiniさんは、時に圧倒されそうになるタスクの整理などでAIを活用しているそうだ。Papiniさんは「AIは不平を言わずに、私の状態を見ながら私の可能性を最大限に引き出してくれる存在」と語る。

  • 生成AIはさまざまな場面で活用されている

    生成AIはさまざまな場面で活用されている

スピーチでの活用例は2つ紹介されている。その1つが、娘の結婚式でのスピーチに利用したというオハイオ州のTom Maherさんは「結婚生活における妥協の重要性を強調したスピーチの骨子をAIに作ってもらい、そこに個人的なエピソードを織り交ぜた」という。

もう1つは、挙式を司る司式者の資格を取得した最初の結婚式で、ChatGPTに手伝ってもらってスピーチを作成したというKelly Byrnesさん。「式の構成から、二人の物語に相応しい聖書の一節の選択まで、AIに支援してもらった」とのことだ。

実用的な問題を解決するのに役立てている例も報告された。テキサス州のTony Eastさんは住宅ローン会社とのトラブル解決で、ChatGPTに助けを求めたという。

Eastさんは「カスタマーサポートとの話し合いが行き詰まったので、ChatGPTにテキサス州の関連法と対処方法を確認した。適切な文言を使った公式な異議申立書の作成までやってくれた」と語る。

Google検索よりも便利

Google検索よりも便利というのは、Tony Macdonaldさん。「Googleから検索結果を得るより、はるかにシンプル」と述べる。「たくさんの情報を分析し、シンプルにし、説明してくれる」と続けている。

ちなみに筆者の知人の娘(日本の高校生)は英検対策で何を勉強すべきか、15分の時間があるから問題を出して、といった勉強系から、食欲を抑えるためにはどうしたらいいかといった悩みの相談にも使っているそうだ。

要約、翻訳、資料やメールの作成からさらに進んで、創造的なこともやってくれるのが生成AIだ。とはいえ過信は禁物。そして、業務で使う際は会社の規定などに注意する必要がある。賢く使いこなしたいものだ。

Wall Street Journalが読者に、生成AIをどのように使っているのかの体験談を募ったところ、さまざまな用途で使っていることがわかった。一連の体験談は「The Many Ways WSJ Readers Use AI in Their Everyday Lives」(WSJ読者が日常生活でAIを使うさまざまな方法)で紹介されている。