アトラシアンがこのほど、プレス向けに事業戦略の説明を行った。同社の看板製品といえば、プロジェクト管理ツール「Jira」が真っ先に挙がるが、AIツール「Rovo」、クラウドセキュリティソリューション「Guard」、非同期動画ツール「Loom」など、さまざまな製品を提供している。

顧客数30万社、6000億円の企業に成長

オーストラリアを本拠とする同社は2001年に法人として登録され、1998年に創業者がニューサウスウェールズの大学で出会い、2002年に最初の製品「JIRA 1.0」をリリースした。日本法人は2013年に設立、現在に至る。

日本法人代表 スチュアート・ハリントン氏は、「カントリーマネージャー がいるのは日本だけ。なぜなら、サポートと営業を日本語で行う必要があるから」と説明した。

  • アトラシアン 日本法人代表 スチュアート・ハリントン氏

日本法人ができた当初顧客数は2万社、売上は150億円だったが、現在は、顧客数30万社、6000億円の企業に成長した。同社がカバーする市場は「ソフトウェア開発」「サービスマネジメント」「ワークマネジメント」の3つで、ワークマネジメントの売り上げが最も多く、成長率も高くなっている。

  • アトラシアンがカバーする市場

チームワークの力を解き放つ製品群を提供

ハリントン氏は、最初の製品であるJiraについて、「ニーズに合わせて進化してきたが、今年、プロジェクト管理ツールのJiraとITサービス管理(ITSM)とエンタープライズサービス管理(ESM)ツールのJira Service Managementをリリースした」と説明した。

あわせて、「世界中でコラボレーションするには、いいコラボレーションツールがないとパワーを出せない」(ハリントン氏)として、同社はチームワークの構築に必要な製品を提供してきた。

そして、ハリントン氏は同社のビジョン「System of Work」を紹介した。このビジョンの下、企業の経営層から現場までつなげることを目指す。「当社の製品は全部の部署をつないで、トップダウンでデータを見ることができる。すべての製品がワークライフマネジメントに関わりがあり、関係ない製品は出していない」と同氏。

  • 「System of Work」を実現する製品群

さらに、ハリントン氏は「日本の企業のコミュニケーションはサイロ化している」と指摘した。Gmailは送信相手しか見えないが、JiraやConfluenceは入力したデータがすべての人に見えてしまうという。「データがすべての人に見えてしまうのがいいのか悪いのか。可視化やオープンを必要としている会社には当社の製品は歓迎される」と、同氏は語っていた。

System of Workによりすべての組織の働き方の変革を支援

続いて、エグゼクティブプロダクトマーケティングストラテジスト 渡辺 隆氏が同社の製品について説明を行った。

  • アトラシアン エグゼクティブプロダクトマーケティングストラテジスト 渡辺隆氏

渡辺氏は、「System of Work」について、「テクノロジー主導の組織がどう働くべきかという課題に対し、事業の成長を加速しチームのパワーを最大化するためにテクノロジーチームとビジネスチームを結びつけるための経営理念」と説明した。

具体的には、すべてのチームに対し、仕事をゴールに整合させ、そのために仕事の計画と追跡を行い、何万人という単位で集団のナレッジを活用する。これにより、価値創出までの時間の短縮、高いROI、チームの結束力強化を実現するという。

その際、「ゴールからタスクに落としてどう見せるか」「タスクをどうトラッキングするか」「ノウハウをどうやって可視化して共有するか」が課題になるという。

  • System of Work を実現するアトラシアンのポートフォリオ

渡辺氏は、リーダーシップ向けの新製品として「Focus」を紹介した。同製品は今年10月に発表された、「全社戦略と計画を支援する経営者向けツール」だ。リーダーのための中央ハブとしての役割を担う。

また、すべての人を対象としたAIツール「Rovo」は今年10月に一般公開された。同ツールは、Atlassian Intelligenceを活用し、社内に分散した情報を横断して検索・学習ができる。同社の製品のほか、Google Drive、Slack、GitHubなどのサードパーティーの製品の検索も行える。

そして、チームワークを強化、改善するために誰もが利用きるベストプラクティス集として、「Team Playbook」が無償で公開されている。

渡辺氏は、「System of Workを実現するサービス、アトラシアンならではのAI、Team Playbookを通じてすべての組織の働き方の変革を支援していきたい」と語っていた。