UiPathは12月19日、レポート「AIと自動化に関するトレンド 2025」の日本語抄訳版(英語原版題名:AI and Automation Trends 2025)を発表した。同レポートでは、以下の7つのトレンドを紹介している。
トレンド1:AIエージェントの時代が到来
2025年、AIエージェントは、自律的に計画、意思決定、行動するための知性と判断力を獲得し、オートメーションの新たな世界を切り開くという。
プロダクトマーケティング部 部長 夏目健氏は、「これまでのAIは人間が活用できるデータを提供するものだったが、AIエージェントは自動的に判断して行動する。自分で必要なアクションを考えて行動できるのがAIエージェントの特徴。AIエージェントにより、従業員が創造的な仕事に集中できるようになる」と説明した。
夏目氏は、AIエージェントの時代に向けて、2025年にやるべきこととして、以下の3点を挙げた。
- AIエージェントとエージェンティックオートメーションについて学ぶ
- エージェンティックオートメーションを活用したプロセスを少なくとも1つ開始する
- その一環として、先行企業の動向を注視するまたは自らその一員になる
トレンド2:オーケストレーションの台頭
夏目氏は、エージェントが活用されるようになると、個々のエージェントが単独で動くだけでは不十分であり、オーケストレーションが複数のエージェントやロボットが連携できるよう、全体を統制管理することが求められると説明した。
2025年はエージェンティック・オートメーション・プラットフォームが展開されるようになることから、ユーザーはエージェンティックオートメーションのエコシステムの確立に向けて計画を立てる必要があるという。
トレンド3:エージェントが自動化の可能性を切り開く
2025年はエージェンティックオートメーションが本格的に稼働し、さまざまなシーンで活用されるようになり、自動化の機会が広がるという。
例えば、カスタマーサービス、営業とマーケティング、ビジネスオペレーション(サプライチェーンの改善)、化学・製薬研究など、「コストが理由で自動化にふみこめなかった分野も自動が進むようになる」と夏目氏は述べた。
トレンド4:大規模な業務再分配が開始
2025年以降、AIエージェントが活用されるようになることで、運用モデルの再構築や職務内容の見直し、人材の再教育、仮想の労働者と実際の労働者間におけるタスクとプロセスの再割り当てが必要になるという。
夏目氏は、「大規模な業務の再配分が始まるので、新しい体制が必要になる。人はAIをどう活用してパフォーマンスを達成するかが求められる」と語っていた。
そして、プロセスマイニングやタスクマイニングを活用し、AIが実行可能な業務の割合が高い仕事の洗い出しが必要になるという。
トレンド5:組込型AIが企業を幻滅の谷から救う
レポートによると、現時点で、経営陣はAIの能力に失望しているようだが、企業向けソフトウェアにAIが組み込まれ、ユーザー企業で実装が進み、効果が実感されるようになるという。
夏目氏によると、ソフトウェアにAIが組み込まれることで、企業では専門知識を持った人の採用すること、高度な知識が不要になり、価値を見出すことが容易になるという。実際、さまざまなベンダーがCopilotを提供しているが、これらの利用により、企業では作業効率が上がっている。
トレンド6:新しいツールによる大量のデータへの制御
散在したデータはAIモデルの構築と拡張に悪影響を及ぼすという。こうした課題は、ナレッジグラフや検索拡張生成(RAG)、この2つを統合したGraphRAG、内部またはプライベートLLM(大規模言語モデル)の活用によって解決するという。
トレンド7:AIを抑制するための規制
自由な発展をしてきたAIも社会的合意の中で進化することが求められているという。例えば、米国だけでも2024年に約500件の法案が提案されている。
2025年は、政府当局などの動向を注視しつつ、企業に堅牢なデータガバナンスやセキュリティ対策が求められる。