UiPathは11月6日、エージェンティックAIを活用したプラットフォームのアップデートに関する記者説明会を開催した。
UiPath カントリーマネージャー 南哲夫氏は、「今回、エージェンティックによって新しいファウンデーションモデルを活用してワークフローを構築できるAIモデルを紹介する。UiPathのプラットフォームにより、ユーザーはセキュアでスケーラブルなAI活用が可能になる」と語った。
「エージェンティックオートメーション」とは
初めに、プロダクトマーケティング部 部長 夏目健氏が、製品戦略であるエージェンティックオートメーションについて説明した。
エージェンティックオートメーションは、AIエージェントとロボット、人、モデルを組み合わせて、エンタープライズ全体でエンド・ツー・エンドのプロセスにおけるAI変革の実現を目指している。
夏目氏は、「エージェントに注目が集まっているが、われわれの考えるエージェンティックオートメーションはRPAの進化した形であり、進化してもRPAはなくならない。ロボットとAIが左脳と右脳のように、協力してオートメーションを作っていく」と述べた。
左脳であるロボットは、反復的なルールベースのタスクの自動化、効率の向上、手作業の軽減に最適であり、また、右脳であるエージェントは変化への適応、インテリジェントな意思決定、複雑かつ動的なプロセスの処理に最適だ。
エージェントの新機能を発表
同社は、エージェンティックオートメーションを実現するためのプラットフォームとして、「UiPath Studio」「同 Orchestrator」「同 Automation Cloud」を提供していく。
今回、新たなエージェンティック機能として「Agent Builder」が発表された。これは、開発者がUiPathの自動化プラットフォーム上でロボットと協調して動作するエンタープライズエージェントを構築・評価・公開するためのツール。同ツールを用いて、エージェントと連携するワークフローやアプリを開発・実装することが可能。
ユーザーは、ゼロからあるいは「UiPath Agent Catalog」に事前構築されたエージェントから、ロボットや人間と連携して動作するエージェントを構築できる。エージェンティックワークフローにサードパーティのエージェントを含めることも可能。
エージェントが実行可能なアクションとして、「UiPathが提供する自動化アクティビティ」「ユーザーが開発した自動化プロセス」「ユーザーが開発したエージェント」を指示できる。
加えて、判断が難しいケース、最終的なチェックを人に任せたいケースなど、人の支援を必要とする際、エスカレーションを行う相手や方法を指定できる。夏目氏は、「既存のAIと同じように、エージェントに100%の結果を求めることは難しく、人のチェックが必要。ただし、エージェントを使うことで、人は細かな作業をしなくて済むので、効率が上がると考えている」と語った。
「Agent Builder」の概要は12月、UiPathのユーザーコミュニティにおいて、公開される予定。
「UiPath Autopilot」の全従業員向けソリューション発表
今回、AIアシスタント「UiPath Autopilot」の新たなソリューションとして、「UiPath Autopilot for everyone」が発表された。これは、すべての従業員が生成AIによるチャットベースのアシスタントにより、日常業務の生産性を向上することを支援するもの。既に開発者向け、テスター向け、ビジネスアナリスト向けのソリューションは発表されている。
UiPath Autopilot for everyoneには、会話機能のモデルとして、Anthropic社の大規模言語モデル(LLM)「Claude 3.5 Sonnet」が統合されている。
「UiPath Autopilot for everyone」を利用することで、UiPathのエージェントとワークフローの自動化を活用し、組織のデータに基づき、回答の取得からドキュメントの分析、アプリケーションへのコピー&ペーストの自動化、自動化の実行などの複雑なタスクを完了することが可能になる。
また、Slack、Salesforceなど、複数のアプリを利用したアクションも行えるので、ユースケースが広がるという。夏目氏は、過去のアクションを学習できる点も特徴として押し出していた。
これにより、ビジネスに関する質問に対し、社内ナレッジベースから事例を参照することで、即座に的確な回答を提示し、UiPathのオートメーションを通じて複数のシステムにまたがるアクションを実行することができる。
夏目氏は、「UiPath Autopilot for everyoneにより、会話しながら日常業務をこなす世界を作っていく」と語っていた。