KDDIはこのほど、サステナビリティ経営に関するオンライン説明会を開いた。サステナビリティ経営推進本部長の矢野絹子氏が、通信基地局のカーボンニュートラル化に関する取り組みのほか、ローソンを拠点とするラストワンマイル配送などの事例を紹介した。
サステナビリティ経営と社会課題解決への取り組み
KDDIは2025年度までを対象とする中期経営戦略において、サステナビリティ経営を掲げている。事業戦略と非財務領域を含む経営基盤の強化を進めるという。また、事業を通じて社会課題を解決し、社会の持続的な成長に貢献するとしている。
同社のサステナビリティ経営の根幹には、「社会の発展に貢献する」という創業以来の理念がある。会社と社会の持続的な成長のために従業員が持つべきとして定めるフィロソフィ(哲学)にも、「社会への責任を果たす」「利他の心で考える」と記されている。
KDDIは発足した2000年以来、時代に対応しながら事業領域を広げ、提供する価値を拡大してきた。携帯電話やスマートフォンの普及を経て、2016年には通信とライフデザインの融合に向けエネルギーや金融に事業領域を展開。2020年以降はあらゆるシーンに通信を溶け込ませて新たな価値を創出するべく、スペースXとの業務提携、KDDIスマートドローンの設立、ローソンとの資本業務提携などを実現。
同社は現在、事業を通じた社会課題の解決によるソーシャルインパクトのを目指している。これを実現するには、グローバルスタンダードを取り入れ、そこに日本ならではの付加価値を乗せることで、新しい価値を社会に届ける必要がある。
サステナブルな地域社会を支えるための事例を創出
続けて、矢野氏はソーシャルインパクトの拡大を見込む直近の事例を紹介した。まずは災害救助支援。2024年1月に発生した能登半島地震では、DMAT(Disaster Medical Assistance Team:災害派遣医療チーム)本部に計50台のStarlinkアンテナを提供し、現地の通信を支援した。
また、自治体向けに災害復旧支援ツールを試験提供した。このシステムは1000種以上の災害関連情報を重ね合わせて一元表示可能。雨雲レーダーやライブカメラ映像といったリアルタイムなデータに加え、自治体が持つハザードマップや避難所の情報を一目で確認できるハイパーレイヤリング技術が特徴。
地域共創に向けては、ローソンをハブとしたドローン配送の実証を進める。2025年1月には秩父市でローソン店舗を活用したドローン配送の実証実験を開始する予定。実証では、ローソンや道の駅を物流のモビリティハブに設定し、営業所から配送される荷物を一時集約してそこからドローンや移動販売車によって自宅へ荷物を輸送する。物流業界の人手不足や買い物困難者の増加といった課題に対し、誰もが住みたい場所に不自由なく住み続けられる社会を実現する。
基地局のカーボンニュートラルも推進
KDDIの中心事業である通信は、非常に多くの電力を消費する。昨今は、生成AIの利用機会増加などを背景に、必要な電力は増加傾向にある。そのため、環境への配慮や二酸化炭素排出量削減への取り組みがますます重要となる。
そこで同社は、通信事業における環境配慮が不可欠であるとして、設備の省電力化と再生可能エネルギー(再エネ)の活用を進める。例えば、基地局においてはトラフィックの少ない時間帯に一部をスリープすることで電力を削減。他にも、太陽光パネルと再エネの利用により実質カーボンニュートラルを実現する基地局や、ペロブスカイト太陽電池を活用した基地局などを推進する。
2025年1月からは、再エネの利用拡大と災害対応の向上を目的に、基地局の附帯電源設備「OPS(Open Power Station)」の実証を開始する。この実証では、基地局の電源設備で蓄電機能のあるOPSに新機能を導入する。その新機能とは、太陽光パネルや小型風力発電で発電した再エネをOPSに蓄電する機能と、ドローンからOPSに給電する機能だ。これにより、環境負荷低減だけでなく 停電時の稼働も可能となるため災害時の対応力向上も期待できるという。
将来的には全国の基地局へOPS設置を進めるとともに、さらにはOPSをVPP(Virtual Power Plant:仮想発電所)化することで、電力需給調整市場へ参入する方針としている。
矢野氏は「当社は今後もカーボンニュートラルにしっかりと取り組みながら事業を通じて社会課題を解決し、引き続き広くソーシャルインパクトを創出していく」とコメントした。





