ソニーネットワークコミュニケーションズは12月16日、ネットワークに常時接続可能なウェアラブル端末とヘルスケア・安全クラウドマネージメントソリューションをセットにしたウェアラブル・アズ・ア・サービス「mSafety(エムセーフティ)」について、デジタルバイオマーカーの研究開発を行う研究機関を対象としたサービスを提供することを発表した。
同サービスは国立がん研究センター東病院および徳島大学の研究チームが実施する臨床研究において活用が決定したという。両機関で「mSafety」で取得したバイタルデータを活用した研究が行われる予定。なお、ソニーネットワークコミュニケーションズは機器の提供を行い、研究内容やその方法には関与しない。
mSafetyの概要
mSafetyはサービス事業者がウェアラブル端末を活用したソリューションを開発する際に必要な、ウェアラブル端末と通信サービス、端末管理サービスを一括で提供する。同サービスを活用することで、労働安全管理をはじめ、高齢者見守り、介護、レジャー時の見守りサービス、デジタルバイオマーカー、臨床試験サービスプロバイダー、学術研究支援など、ヘルスケアおよびウェルネス分野におけるさまざまなユースケースにフィットしたサービス開発が見込めるという。
デジタルバイオマーカー研究向けに提供
近年は医療や医薬品開発の領域を中心に、デジタルバイオマーカーと呼ばれる、デジタル端末を用いて収集・測定するバイタルデータの活用に関心が集まっている。デジタルバイオマーカーにより、従来は計測に高度な機器が必要であった身体情報や、主観的な報告に頼っていた心身の状態を、ウェアラブル端末を用いて客観的かつ定量的に評価できるようになると考えられる。
バイタルデータの取得に向けては、手軽に利用できる腕時計型のウェアラブル端末が注目されてきた。一方で、腕時計型のウェアラブル端末をデジタルバイオマーカーの開発で用いる際は、研究スタッフと被験者の双方にとって、アカウントや通信環境の設定など端末の初期セットアップに要するオペレーションの手間の大きさが課題となっていた。また、コンシューマ向けのウェアラブル端末などで計測できるデータは、信頼性、連続性、一貫性の担保や、取得したデータの所有主体、ユーザーとの同意取得方法など、臨床試験で用いる上での課題が残されるという。
これに対し、mSafetyを活用したデジタルバイオマーカー開発は、煩雑な初期設定やスマートフォンなどの機器を別途用意せずにすぐにデータ取得を開始でき、端末の設定もリモートで一括変更可能。また、必要に応じてセンサーデータをそのまま取得できるため、臨床研究における被験者のアクセシビリティやアドヒアランスの改善、データの透明性と一貫性の担保につながるとのことだ。