日立製作所は12月16日、2025年4月1日付で執行役社長兼CEO(最高経営責任者)に現在の小島啓二氏から、執行役副社長である徳永俊昭氏が就任することを発表した。同日には報道関係者向けの説明会が開催された。

徳永新社長の経歴と就任の経緯

徳永氏は1967年3月15日生まれの茨城県出身。1990年に東京大学工学部を卒業し、同年4月に日立製作所に入社した。

  • 2025年4月1日付で日立製作所 新社長兼CEOに就任する徳永俊昭氏

    2025年4月1日付で日立製作所 新社長兼CEOに就任する徳永俊昭氏

2006年に情報・通信グループ金融システム事業部金融システム第一本部第一部長、2017年に日立アプライアンス 取締役社長、2019年に日立製作所 執行役常務 サービス&プラットフォームビジネスユニット COO(最高執行責任者)などを歴任し、2021年から代表執行役 執行役副社長を務めていた。

取締役会議長指名委員長の井原勝美氏は「ABBのパワーグリッド事業、GlobalLogicと買収した2社に加え、鉄道事業が成長軌道に乗り、オーガニックな成長を果たしている。小島さんの力強いリーダーシップの下で2024年度を最終年度とする現在の中期経営計画はおおむね達成できる」と述べた。

  • 取締役会議長指名委員長の井原勝美氏

    取締役会議長指名委員長の井原勝美氏

続けて、同氏は「交代にあたり、徹底的に議論した。この数年で大きくグローバルに広がった日立の持つデジタル技術にもとづいたサービスを幅広く提供していくことが重要でなる。また、作成中の次期中計経営計画では日立はデジタルセントリックの企業集団を目指しており、さらなるオーガニックな成長を加速していくことが大きく柱になるため」と徳永氏が昇格した経緯を説明した。

経営のバトンをしっかりと受け取る - 徳永氏

一方、2021年から約3年間に及び責務を全うした小島氏は「中期経営計画の目標は達成が見込まれており、時価総額は3倍に成長させることができた。オーガニックな成長力を示し、企業価値を向上させることが有言実行できた」と振り返る。

  • 日立製作所 執行役社長兼CEOの小島啓二氏

    日立製作所 執行役社長兼CEOの小島啓二氏

また、同氏は「当社のDX(デジタルトランスフォーメーション)のジャーニーに終わりはない。デジタルセントリックな企業となるべく変革を続ける必要があり、次のステージを導くためのリーダーとして徳永さんが選任された」と述べた。

4月から新社長兼CEOに就任する徳永氏は「深く感謝するとともに責任の重さを痛感している。経営のバトンをしっかりと受け取り、持続的な成長を実現していく」と話す。

これまで特に印象深いできごととして、徳永氏はGlobalLogicの買収を挙げている。同氏は「約1兆円規模という、かつて経験したことのない規模のM&A(合併・買収)に取り組んだことは私のビジネスパーソンとしての覚悟を醸成してくれた」と振り返った。

また、同氏は「Lumada事業は同社の買収以降、グローバルで成長しており、売上収益に占める事業の割合は2024年度末に約3割、中長期的には全社売上収益の過半を占めることを目指している」と意気込みを語った。

  • 徳永氏

    徳永氏

現在、策定を進めている次期中期経営計画ではデジタルをコアに“真のOne日立”を実現し、社会イノベーション事業のグローバルリーダーを目指す取り組みを加速していく。

具体的に徳永氏は「Lumadaを進化させること、グローバル各地域において成長機会の探索を強化すること、そしてOne日立で新規事業を創設する取り組みを加速することで、グループの持続的な成長を実現していく。ポイントはデジタルで持続可能な成長をOne日立で実現していくことだ」と決意を語っていた。