NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)、バイオマスレジンホールディングス(以下、バイオマスレジンHD)、パソナグループは12月13日、カーボンオフセットによる持続可能な農業の推進と脱炭素社会の実現を目的とした取り組みを開始することを発表した。
第一弾として、バイオマスレジンHDの関連会社である農地所有適格法人「ちーの」と、環境に配慮したプラスチックの原料となる工業用原料米栽培などを通じてJ-クレジットの創出に取り組むという。今後は創出するJ-クレジット販売によって米生産者の収益向上に寄与するとともに、持続可能な農業の推進と脱炭素社会の実現を目指す。
取り組みの概要
温室効果ガスの排出量削減や創出されたJ-クレジットの流通による新たな農業モデルの構築をめざすNTT Comと、アップサイクルした国産バイオマスプラスチックの開発を手掛けるバイオマスレジングループ、環境経営に取り組むパソナグループが、各社の強みを持ち寄り持続可能な農業の推進と脱炭素社会の実現に向けた取り組みを開始する。
今回の取り組みでは、バイオマスレジングループが推進する低コスト高収入糧モデルの稲作過程において、農業IoTセンサーを設置することで地温や水位、水温、湿度、気温などのデータを取得し、J-クレジットの創出から販売までを一気通貫で実施する。
中干し期間の延長により温室効果ガス排出量を抑制しながらJ-クレジットを創出し、J-クレジット申請における生産者の管理負担軽減と収益還元を目指すという。
パソナグループは二酸化炭素排出量可視化支援サービスや省エネ診断サービスなど、企業の脱炭素のためのサステナビリティ経営支援事業を展開しており、その一環として、この取り組みを通じて創出するJ-クレジットを活用したカーボンオフセットサービスを提供するとのことだ。
取り組みの背景
昨今は温暖化をはじめとする世界的な気候変動への対応が課題とされる中、二酸化炭素の約25倍もの温室効果を持つメタンの排出量削減に関心が集められている。日本では、国全体のメタン排出量のうち約4割が水田から発生しているとされ、水田から発生するメタンの削減が進められる。
水田から発生するメタンを削減するためには落水期間を長くする必要があり、水稲栽培で通常行われる中干し期間を7日間延長することで、メタン排出量を3割削減できることが確認されている。2023年には「水稲栽培による中干し期間の延長」がJ-クレジット制度の新たな方法論として承認された。
J-クレジット制度は農林漁業者らが温室効果ガスの削減と吸収の取り組みを通じたクレジットから販売収入を得られるため、農林水産分野におけるさらなる活用が期待される。