Vox Mediaは12月10日(米国時間)、「Microsoft’s Mustafa Suleyman on what the industry is getting wrong about AGI - The Verge」において、今後数年以内に会話型AIが次世代のWebブラウザになると伝えた。

これはMicrosoft AIの責任者を努めるMustafa Suleyman氏が対談の中で明らかにした将来像で、実現に必要なAI間の超リアルタイム会話による効率的な交渉プロトコルはすでに一部が動作しているという。

  • Microsoft’s Mustafa Suleyman on what the industry is getting wrong about AGI - The Verge

    Microsoft’s Mustafa Suleyman on what the industry is getting wrong about AGI - The Verge

既存のWeb検索の問題

Mustafa Suleyman氏は既存のWeb検索の問題点について次のように述べている。

(現在のWebブラウザを使用した)検索は完全に壊れていて、本当に面倒で、私たちはひどい体験に慣れてしまっているように思う。クエリーとは何かを考えてみてください。検索エンジンへの質問を表現する、この奇妙で制限された方法を説明するために「クエリー」という言葉を発明しなければなりませんでした。(クエリーで検索)すると、10個の青いリンクが表示され、それらは探しているものに漠然と関連しています。1つをクリックしてから、クエリーを絞り込む必要があります。つまり、面倒で時間のかかる体験です。

現在のWeb検索は目的のWebサイトに到達できそうな単語を入力し、単語に関連したWebサイトの一覧を表示するシステムを採用している。そのため、ユーザーは一覧の中から目的のWebサイトを再検索し、Webサイトを表示して情報の有無を確認することが求められる。

同氏はこの繰り返しの作業が非効率的と指摘しており、クエリーではなく会話から必要な情報を応答するシンプルな仕組みが将来のあるべき姿だと力説している。

一部は実現済み

次世代ブラウザの展望について、同氏は次のように述べている。

私の予想では、すべてのブラウザ、検索エンジン、アプリは、何らかの会話型インタフェース、何らかの生成型インタフェースによって表現されるようになるでしょう。あなたが体験するUIは、3年か5年後にはLLMによって自動生成され、それがデフォルトになるでしょう。そして、それらはブランド、企業、インフルエンサー、有名人、学者、活動家、組織を代表することになるでしょう。社会で影響力のある人物がポッドキャストを手にしたり、Webサイトを作成したり、ブログを書いたり、アプリを作成したり、昔は電話を使ったりしていたのと同じです。

同氏はすべてのブラウザ、検索エンジン、アプリなど、あらゆるインタフェースがAIにより生成される未来を予想している。コンテンツの生成、提供もAIにより自動化されることを予想しており、それらが早ければ数年後には実現するかもしれないという。

これが実現すると、人間はAIに質問し、AIがオンライン上のAIから情報を収拾して最適な答えを返すようになる。この実現には人間と交渉するAIインタフェースの開発、そしてAI間の交渉を可能にする必要がある。同氏は後者について次のように述べ、人間より高速なリアルタイム会話による効率的な交渉がAI市場ではすでに実現していることを明らかにした。

これはすでに今日のオープンWebで実現されています。広告スペースの買い手と売り手、または検索ランキングアルゴリズムの間で、舞台裏でリアルタイムの交渉が行われています。つまり、そのようなAI市場はすでに存在しているのです。言語で明示されていないだけで、それはベクトル空間で動作しています。

近い将来、人間は個人向けAIコンパニオンと会話し、AIコンパニオンがオンライン上のAIと交渉してその結果を人間に伝えるようになるかもしれない。まるで近未来を描いた映画のような世界だが、実現に向けた取り組みが進められている。