Bleeping Computerはこのほど、「Vodka maker Stoli files for bankruptcy in US after ransomware attack」において、スピリッツやウォッカなどの製造、販売を手掛ける「Stoli Group (USA)」が破産申請手続きを開始したと報じた。

11月29日(米国時間)に提出された書類によると、原因は大規模なサイバー攻撃による事業の停滞およびロシア当局との法廷闘争による出費とされる(参考:「Stoli Group (USA) bankruptcy filing | DocumentCloud」)。

  • Vodka maker Stoli files for bankruptcy in US after ransomware attack

    Vodka maker Stoli files for bankruptcy in US after ransomware attack

サイバー攻撃による事業の停滞

Stoli Groupは2024年8月に発生したデータ侵害とランサムウェア攻撃により、ITインフラストラクチャに深刻な被害を受けた。ERPシステムが無効化され、会計を含む内部プロセスのほぼすべてを手作業で行うことになった。

このサイバー攻撃はStoli Group全体に運用上の重大な問題を引き起こしたが、復旧は2025年第1四半期までかかるとされ、しばらくは事業の停滞が続くと見込まれている。

ロシア当局との法廷闘争

Stoli Groupの主張によると、ロシア当局との法廷闘争により世界中の複数の裁判に関連して、3年間で数千万ドルを費やすことを余儀なくされたという。また、Stoli Groupの創設者はプーチン政権を批判したことで迫害の対象になっているとされる。

2024年7月、ウクライナとの紛争に関連した裁判において難民を支援したとして「過激派」に指定され、ロシアに残されていたStoli Groupの蒸溜所2カ所(約1億ドル相当)がロシア政府に押収された。

破産申請へ

これら被害に加えコロナ禍によるアルコール需要の落ち込みが収益を圧迫。破産申請の手続きを開始するに至った。

破産申請は米国子会社の2社のみで、Stoli Groupは破産していない。米国子会社2社の負債は合計で8,452万ドル以上とされる。両社が抱える在庫については販売差し止めの動きがみられるが、店頭販売分については購入可能とみられる。