NECとUPBONDは12月4日、NECの生体認証技術を活用したVC(デジタル証明書)とUPBONDの分散型ログインソリューション「Login3.0」を組み合わせた技術検証(PoC)を開始したことを発表した。
今回の技術検証では、VCに格納された生体情報(顔画像)を用い、ユーザーの本人確認を顔認証で行うことにより、デジタルとフィジカルの両方で安全かつシームレスにサービスへアクセスできる環境を検証する。
技術検証の狙い
VCはデジタル形式で安全に管理できる証明書であり、第三者によって信頼性が確認された情報を持ち主が自身で管理し、必要に応じて相手に証明できる仕組み。
UPBONDのLogin3.0は、分散型ID(DID)技術に基づくソリューションで、ユーザーが自身のデジタルIDを管理し、安全に認証情報を活用できる環境を提供する。通常のIDは企業や政府が管理しているが、DIDはブロックチェーンなど分散型ネットワークに記録されるため、第三者に依存せず、本人だけがコントロールできる。
分散型ID(DID)技術とVCを活用した認証・本人確認基盤を用いることで、ユーザーは安全性と利便性を両立した形でサービスへアクセスすることが可能になる。これにより、認証や本人確認に伴う負担から解放されることが期待されるという。
技術の特徴とメリット
NECの生体認証技術を活用したVCとUPBONDのDID技術により、ユーザーはパスワードや必要情報の提示を個別に行わなくても各種サービスにアクセス可能となり、快適なユーザー体験を提供できるようになる。
加えて、ユーザーが自身の判断で認証・資格情報を提示、共有できるため、プライバシー保護が強化されるほか、生体情報を活用する事で不正アクセスのリスクを抑制する。
またデジタル証明書の提示と顔認証により、ユーザーはストレスなく認証・本人確認を行え、ビジネスや生活のさまざまなシーンで利便性が向上するというメリットもあるという。
技術検証の概要
今回の技術検証では、NECの生体認証技術を活用したVCとUPBONDのLogin3.0を連携し、「宿泊業」「建設業」「自動車産業」での利用を想定した技術検証を行い、システムの実用性と利便性を評価する。
宿泊業の利用では、宿泊施設の課題であるチェックイン時に必要なレジストレーションカードへの記入、予約内容の確認、パスポートのコピーなど、旅行業法に基づいた業務の簡略化を図る。
設業界の利用では、課題となっている「現場への入退場管理や就業者の資格証明の確認が厳格に求められる一方で、情報管理の手間や手続きの煩雑さがある」ことの解決を目指す。
過去の就業情報を含む信頼情報を生体情報と共にデジタル証明書化し、必要に応じて他の建設現場や企業と共有、本人確認することで、資格情報や就業履歴を安全に管理できるようになる。
自動車産業での利用では、走行履歴や車両利用のデータなどを生体情報と合わせてデジタル証明書化することで、本人確認や信頼情報を安全に管理できるようになる。また、必要に応じて他のサービスと連携することで、利便性の高いモビリティ体験を提供する。