NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は12月4日、福島県昭和村において自律飛行型ドローン「Skydio X10」を活用した夜間人物探索の実証実験に成功したことを報告した。

今回の実証では、「Skydio X10」の夜間自律飛行機能とサーマルカメラによる温度検知により、夜間での人物探索が可能であることを確認。低軌道衛星を利用した衛星ブロードバンドインターネットサービス「Starlink Business」を活用することで、電波の不感地帯においても遠隔地への映像伝送が可能となり、リアルタイムでの迅速かつ安全な状況把握につながったとのことだ。

  • 飛行するドローン「Skydio X10」

    飛行するドローン「Skydio X10」

Skydio X10による夜間自律飛行

Skydio X10は夜間の自律飛行に対応し、今回の実証によって日没後であっても安全に人物探索を継続できることが確認された。さらに、従来のドローンでは困難であった場所にも進入し、安全に状況確認できることが証明されたとのことだ。

サーマルカメラにより対象物の温度などを検知することで、夜間の視界が悪い環境や樹木などの障害物がある環境でも効率的に人物の確認が可能となり、人命救助における迅速な対応につながることを確認した。また、スポットライトを用いることで、上空90メートル付近からでも地上の人物を確認し、サーマルカメラではとらえられない対象物も認識できることが確認された。

  • 左:サーマルカメラ、右:可視光カメラ

    左:サーマルカメラ、右:可視光カメラ

Starlink Businessによる映像伝送

実証ではStarlink Businessを活用することで電波不感地帯からでも映像伝送が可能となり、遠隔地のオペレーターがリアルタイムで映像を受信し、現場の状況を把握できたという。安全性と迅速性が向上したとのことだ。

Skydio X10が認識した位置情報をもとにした捜索(昼間)

Skydio X10が飛行中に探索対象者の緯度経度情報を記録し、その情報をもとに職員が遭難者を探索することで、およそ15万平方メートル(東京ドーム3個分)の範囲の森林にいる探索対象者3名のもとに約40分程度で到達できた。

今回の実証では、自動飛行とと手動飛行を組み合わせて捜索と緯度経度情報の記録を行い、その情報をもとに約21分で1人目の捜索対象者のもとに職員が到達した。Skydio X10がリアルタイムに認識した緯度経度情報と現地での緯度経度座標のずれは数メートル程度だった。

  • 実証の構成

    実証の構成