アステリアとマレーシアのTapwayは11月27日、データ収集・統合・管理・活用までをノーコードかつワンストップで利用できるノーコードAI/IoT統合プラットフォーム「Asteria AIoT Suite」の日本語版を提供開始すると発表した。

両社はエッジAI・IoTビジネスにおける製品開発およびマーケティングに関する事業提携を開始することを発表。これにより、アステリアはマレーシア、シンガポール、フィリピン等東南アジアのAI市場に新規参入し、Tapwayは日本市場への初進出を果たすとしていた。

アステリアは、2023年に生成AIにも対応したAI・IoTプラットフォームとして「新Gravio」の提供を開始。これにより、クラウド型の利点とエッジ型の利点を融合し、多要素化・多拠点化するデータの連携・管理をノーコードで効率的にできるようになった。

両社は「AIoT Suite」を共同で開発し、2024年7月より東南アジアを中心にその英語版の提供を開始した。

平野社長「AI、IoT、エッジを掛け合わせると独立した人間に近づく」

アステリアの代表取締役社長 CEO 共同創業者の平野洋一郎氏は、新製品をリリースする背景について、次のように説明した。

「新しい技術は社会実装が進むと伸びる。今後は、データに基づき、リアルタイムで判断するデータ駆動型社会が到来することが予想される。そうした中で、即時性、セキュリティ、分散AI稼働、異種デバイス、相互接続性、ノーコードを実現するミドルウェアが必要となる」

  • アステリアの代表取締役社長 CEO 共同創業者 平野洋一郎氏

「Asteria AIoT Suite」は、こうしたデータ駆動型社会を支えるためのプラットフォームとしての役割を担うべく、開発された。

さらに、平野氏は「これからはリアルデータ、リアルワールド、エッジの進化が必要になっていく」と述べた。

アステリアは、AIとIoTを脳と体(目鼻口耳手足)と見なしており、さらにエッジをかけ合わせると独立した人間に近づくという。

平野氏はこうした世界を作り上げていくうえで、ノーコードがカギとなると指摘した。ノーコードにより、IT技術者出なくてもシステム開発ができるようになる。「大事なことは、多くの人が使える、開発できること」と同氏。

ノーコードなら、開発時間の削減、簡素な保守、迅速な実証実験、簡素な保守を実現する。

平野氏は「アステリアは複数のノーコード製品をそろえている。今回、ここにAIoT Suiteが加わる。これから、さまざまなものを付け加えて価値を提供していく」と語った。

  • アステリアのノーコード製品のポートフォリオ

Tapwayの「SamurAI」と連携

続いて、TapwayのCEOを務めるChee How Lim氏が説明を行った。同社は、AI製品として、顧客のニーズに応じて車両、人、物体などを識別するためのAI推論モデルを構築・展開できる「SamurAI」を提供している。

  • Tapway CEO Chee How Lim氏

同製品は「Central」「Copilot」の2つのタイプがある。「Central」はAI推論を作成できるプラットフォームで、また、「Copilot」は画像認識AIを実行できるツールだ。

「AIoT Suite」は、アステリアの「Gravio」、人物認識AIサービス「IVAR」、Tapwayの「SamurAI」を組み合わせたサービス。Lim氏は、「アステリアとパートナーになることで、エンド・ツー・エンドのシステムが実現した。AIoT Suiteでは、画像から何かが検知された場合、アクションに落としこむことができる」と説明した。

  • 「Asteria AIoT Suite」を構成するサービス

さらに、Lim氏は「AIoT Suiteによってラベリングを生成AIに任せられるようになった。これまでは人がラベリングを行わなければならなかった。これで、AIの専門家を雇う必要がなくなる」と語った。

今まで人間が行っていたことを自然に機械化・自動化

「ASTERIA AIoT Suite」の詳細は、アステリア AIコネクテッド事業部事業部 垂見智真氏が行った。同氏は、AIoT SuiteでAIとIoTを組み合わせることで、今まで人間が行っていたことをより自然に機械化・自動化することで、業務の省力化を実現すると述べた。

「『自然に』がポイント。また、現場の人が使えなくてはいけない。ここからノーコードにつながる。外部の人が考えると、違うものができてしまうので、現場の人が納得いくものができるようにする」(垂見氏)

  • アステリア AIコネクテッド事業部事業部 垂見智真氏

垂見氏は、ASTERIA AIoT Suiteによるデモを披露した。デモでは、カメラによる画像入力(検知)、SamurAIを使った判断(認知)、Gravioによる判断結果に基づくアクションの実施(行動)が行われた。

具体的には、カメラに移したバナナを認識し、バナナを材料としたレシピが生成された。垂見氏は、AIoT Suiteによって、缶の分類とカウント、貸すボンベの自動分類、ドライバー監視など、さまざまな業務の省力化を実現できるとの自信を見せていた。

  • 「ASTERIA AIoT Suite」でバナナを認識して、レシピが生成された画面

「ASTERIA AIoT Suite」のラインアップは、構築したAI推論を実行するエッジサービス「AIoT Suite SamurAI Copilot」、AI推論構築クラウドサービス「AIoT Suite SamurAI Central」の2種類。いずれも月額のサブスクリプション型で提供する。

平野氏は、同サービスについて「オンデマンド型のAIはセンサーが検知したときにAIが走るので、そのたびに料金が発生する。AIの利用において、機材も電気代も高い。ASTERIAは必要な時にだけ使うサービ」と話し、同サービスが経済性に優れていることをアピールしていた。