EYストラテジー・アンド・コンサルティング(EY)と日本IBMは11月27日、日本企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させるため国内での協業を強化し、IBMのAIエージェント製品を組み込んだAIソリューションの「Work Agent One」を開発したと発表した。新ソリューションは急速なデジタル化に伴い、複数のシステム導入で複雑化した業務にで生じている担当者の高負荷や属人化に課題を抱える企業の本質的な業務プロセスの改善を目的に、同日からEYのコンサルティングサービスを通じて提供開始する。
新ソリューション提供の背景
近年、SFAやCRMなどのセールステックを導入し、効果的・効率的な営業活動を目指す企業が増加しているものの、営業支援システムを導入しても営業活動が強化されていない、あるいは課題が残っている、事務作業が減らず営業活動に充てる時間が増やせないなど、セ効果を十分に得られていない企業も少なくないという。
その理由としては、業務上必要となるシステムが多岐にわたり、さまざまなUIが存在することによる、業務全体のUX(従業員体験)の低下が原因だと考えられているとのこと。
このような背景のもと、EYのコンサルティングサービスによる業務分析・変革の知見やノウハウと、IBMの生成AI技術を組み合わせ、Work Agent Oneを開発した。
新ソリューションの概要
新ソリューションは、チャットなどの会話形式で指示を受け取り、AIが内容を理解して、さまざまなサービスや他の生成AIと自律的に連携しながら、業務を自動で実行するIBMのAIエージェント製品「IBM watsonx Orchestrate」の機能をベースに設計した。
これにより、散在するシステムやツールのUIを統合し、製品やサービスの統廃合まで組み込んだ本質的な業務・システム改革の推進を可能にするという。企業担当者はシステムやツールが統合された作業環境により、業務の高度化や効率化だけでなく、複数システムへの情報登録や社内調整にかかる作業負荷などから解放されるため、作業ストレスの軽減や顧客との対面、アイデア想起の時間の確保など従業員体験の向上するとしている。
たとえば、製造業界における特許申請管理業務などで生じる申請物の確認作業の短縮や、開発・品質保証部門などでの設計作業への修正依頼や確認・承認プロセスといった業務の簡略化が期待できるという。また、不動産業界における施主、金融機関、工事事業者など複数の関係企業をまたいだ電子契約申請業務などの差し戻し作業などについても削減が見込まれるとのことだ。
両社の役割として、EYは経営コンサルティングサービスの経験を活かし、デザインフェーズと定着化フェーズをメインに支援。既存の業務システムとAIソリューションをつなぐため、業務やデータフローの清流化支援、実際の現場で必要なボトルネックの炙り出しなど、業務理解をふまえたAI活用コンサルテーションを実施する。また、同社のテクノロジーコンサルティングチームとも連携し、顧客ニーズに応じて柔軟な体制で支援する。
一方、日本IBMは生成AIをはじめ、技術支援やタスクを自動化して複雑なプロセスの単純化で企業を強化するwatsonx Orchestrateの製品提供を行うことに加え、企業・組織とのパートナーエコシステムを通じた協業を推進することで、実用的なAIソリューションを提供し、企業のDXを推進していく。