ソフトバンクは11月13日、AIとRAN(無線アクセスネットワーク)を同一のコンピューティングプラットフォーム上で動作可能にする統合ソリューション「AITRAS(アイトラス)」の開発を本格的に開始すると発表した。まずはソフトバンクの携帯電話基地局へ導入し、2026年以降には国内外の通信事業者などへの展開を目指す。

  • AI-RAN屋外実証環境に配置したアンテナの様子 提供:ソフトバンク

    AI-RAN屋外実証環境に配置したアンテナの様子 提供:ソフトバンク

「AITRAS」は、AIアプリケーションとRANを同じコンピューター基盤の上に統合する「AI-RAN」を製品化したもの。無線基地局やネットワークにAI機能を入れることで、基地局がより効率的に高度な処理を行うことができるようになる。特に遠隔ロボットや自動運転車の支援などに適しており、電力消費量も少なくて済む。

同社が今回発表した「AITRAS」は、米NVIDIAが提供する「NVIDIA GH200 Grace Hopper Superchip」のプラットフォーム上に、RANをキャリアグレードで提供するだけでなく、生成AIなどさまざまなAIアプリケーションの提供も、同時かつ効率的な運用を可能にするソリューションだ。

  • 「AITRAS」のシステム構成 提供:ソフトバンク

    「AITRAS」のシステム構成 提供:ソフトバンク

ソフトバンクは同日、富士通と米IBM傘下のRed Hatとそれぞれ連携し、AI-RANの実用化に向けて共同研究を開始することも発表した。米国テキサス州ダラスにある富士通の拠点にAI-RANの検証ラボを設立するほか、Red Hatと共同で仮想化基盤に関する研究を進める。

通信事業者は「AITRAS」を導入することで、従来のRANインフラの投資を継続しながらAIインフラの構築も同時に行える。加えて、AIを活用したネットワークの効率化も図ることで、効率のよいインフラ投資が可能になるという。

ソフトバンク 代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一氏は「AITRASはロボットや自動運転、そしてドローンなどが普及したAI共存社会を支える、次世代社会インフラの実現を目指す上で不可欠な存在となる」とコメントしている。