日立製作所は11月8日、日立グループ全体での戦略的なOSS活用を推進する「Open Source Program Office(以下、日立OSPO)」を設立したことを発表した。OSSの探索や活用戦略の立案、ライセンス管理、エンジニア育成、OSS普及を推進する。

  • 日立のOpen Source Program Office 概要

    日立のOpen Source Program Office 概要

日立OSPOは、先進的なOSSの探索と活用戦略の立案、OSSライセンスなどのコンプライアンス管理や高度エンジニアの育成、OSS普及を推進する。今回60人規模で開始し、今後、グローバルを含め100人規模の体制に強化予定だという。

代表には、日立のチーフOSSストラテジストである中村雄一氏が就任した。同氏は、中村は、「私はこれまで20年以上OSSコントリビューターとして、現在はThe Linux Foundation(以下、LF)のボード・エバンジェリストとして、OSSのコミュニティ活動とビジネス活用の両立・連携を追求してきました。これまでの経験を生かし、日立OSPO がOSSのコラボレーションの文化を日立グループに浸透させ、One HitachiとしてOSSコミュニティ貢献をリードし、グローバルトップクラスのエンジニアを育成してまいります。そして、LFとも協力し、日立OSPOのノウハウを複数のコミュニティで継続的に共有し、OSSにより持続的に成長する社会の実現に貢献していきます」と述べている。

また、 日立のデジタルシステム&サービス統括本部CTOである鮫嶋茂稔氏は、次のようにコメントしている。「日立は創業より、優れた技術で社会に貢献することを企業理念としています。さまざまな社会課題の解決に向け、幅広いステークホルダーとの協創を重ね、その価値を社会実装してきました。OSSにおいても、研究開発拠点「協創の森」などを活用したオープンイノベーションを推進しコミュニティへの開発貢献を図るとともに、金融・公共・交通といった社会インフラへの実装も実現しています。これらの活動の知見を集約した日立OSPOを中心に、今後ますます複雑化する社会課題の迅速な解決に向け、グローバルなステークホルダーとの協創をさらに深め、サステナブルな社会の発展に貢献することを期待しています」

日立OSPO発足について、The Linux Foundationのジム・ゼムリン氏は、「OSPOの設立は世界的なトレンドであり、OSSへの取り組みを効率的に管理するためには、企業に不可欠な組織です。日立がOSPO設立によって戦略的なOSSへの投資に踏み切ったことを、とてもうれしく思っています。また、日立がベストプラクティスを他の企業や団体に展開しようとする姿勢を歓迎します。The Linux Foundationは、日立の取り組みをできる限り支援していきます」と述べている。

なお、日立OSPOの活動については、11月20日に米国カリフォルニアで開催されるThe Linux Foundation Member Summitにて、OSPO責任者の中村氏が「A Journey of Business and OSS Ecosystem with the Linux Foundation」という講演で紹介予定だという。