Synspectiveは、小型SAR(合成開口レーダー)衛星の製造事業所として、同社3拠点目となる「ヤマトテクノロジーセンター」を神奈川県大和市に開設し、9月より本格稼働を開始したことを発表した。
反復し成長する衛星製造体制の構築へ拠点を拡大
Synspectiveは、小型SAR衛星の開発・運用に加え、取得したSARデータの販売およびソリューション提供を行う企業で、これまで東京本社・シンガポール支社の2拠点で事業を展開していた。そして今般は衛星製造能力を拡大するため、宇宙関連や自動車関連など幅広い製造工場経験者が豊富で、都心からの交通アクセスにも優れた神奈川県大和市エリアに、新たな工場を設けるに至ったという。
同社が今回新たに開設したヤマトテクノロジーセンターでは、年間12機の小型SAR衛星生産を目指しているといい、その達成に向けては“Iterative Manufacturing”(反復しながら成長する製造)というコンセプトのもと、得られた知見・経験を振り返りながら次の世代で成長することを継続し、生産拡大を図るとする。
具体的には、製造過程におけるできるだけ多くの事象や症状を定量化・数値化してデータベース化し、それらを分析したうえで衛星や工程、設備・治具の設計へと反映することで、衛星の品質および性能向上を図るとのこと。同社は、これらの品質定量化や情報の蓄積が、将来の部品変更や工程変更時の検証にも役立つとしている。
また、宇宙機の製造における熟練者の技能継承も今まで以上に推進するといい、人間工学に基づいた設備・治具設計を導入し作業者の負担軽減を図るとする。加えて、宇宙機製造作業の習熟および技能向上を目的とした技能道場も併せて開設し、宇宙関係未経験者でも技能習得によって新たな戦力の一部となるよう、人材育成を強化するとした。
今後は50人規模での新規採用を予定
なおSynspectiveによると、新拠点の稼働開始により、同社の小型SAR衛星「StriX」シリーズにおける量産パートナーとして提携するセーレン、および東京計器と共に、2020年代後半までの目標として掲げる“30機の小型SAR衛星コンステレーション構築”を実現するための強固な生産体制が整ったとのこと。そして今後も人材獲得を進め、今後50名程度の新規採用が予定されているとしている。