11月7日、横浜銀行は日本IBMと協力して、融資審査業務における稟議書の作成に生成AIを活用する実証実験を実施した結果、行員の業務効率化、審査スキル向上の観点から有用性が確認されたと明らかにした。
実証実験の概要
横浜銀行は、利用者の多様化・高度化する経営課題に対応するため、各行員が付加価値の高い金融サービスを提供する「ソリューション・カンパニー」の実現を目指している。日々の営業活動ではニーズを深く理解することが求められており、特に融資審査業務では行員のヒアリング力や提案力の底上げが必要不可欠であるとともに、そうした活動時間を創出するための業務効率化も求められているという。
今回の実証実験では6週間の期間で「融資稟議書作成支援AI」のプロトタイプを作成し、日本IBMのアセットを活用した「融資稟議書作成支援AI」が作成した稟議書をもとに、審査項目の網羅率、文章品質、および業務時間削減効果を検証。
その結果、生成AIが融資稟議作成を支援することで、行員の稟議作成にかかる時間の効率化が確認できたという。業務に実装した場合は最大で年間1万9500時間の業務効率化(融資担当行員1人あたり、最大で月間約8時間の業務時間に相当する効率化)が見込まれている。
また、与信判断に必要な審査項目について、顧客へのヒアリングが不足している点を明確にできる効果も確認。行員は生成AIを活用した融資審査を通じて、どのような情報を顧客から聞き取るべきかという気づきを得ることができ、行員の審査スキルが効果的に向上することも期待できるという。実証実験で確認したポイントや課題を整理し、実装化を目指す。
今後、横浜銀行では生成AIなどの技術を活用し、多種多様なニーズに応えるとともに生産性の高い働き方を実現することで、地域社会の持続的な発展に貢献していく考えだ。