生成AIといえばチャットボットだったのが、このところ「AIエージェント」という言葉が出てくるようになった。AIエージェントとは何なのだろうか?
AIエージェントは“人間がやっていた複雑なタスクを自動化する”
2023年がAIチャットとすれば、2024年はAIエージェント。ベンダー各社はどこもAIエージェント関連の発表を行っている。
そもそもAIエージェントとは何か。IBMによると「本来なら人間がやっていた複雑なタスクを自動化する」と定義している。AWSは「環境と対話し、データを収集し、そのデータを使用して自己決定タスクを実行して、事前に決められた目標を達成するためのソフトウェアプログラム」と説明している。
Salesforce、SAP、ServiceNowなど業務アプリケーションだけでなく、AppleがAIで強化したSiriがメールやメッセージを操作して、タスクを支援することなどもAIエージェントの例として紹介している。Salesforceの元幹部、Bret Taylor氏はエージェント構築を支援するベンチャー企業、Sierraを立ち上げたという。
AIエージェントが与える影響とは?
AIエージェントが与える影響として、人が必要なくなるため業務量の増減に簡単に対応できる点が挙げられる。
企業にとって自動化そのものは新しいコンセプトではないが、課題はある。自動化とAIエージェントは異なるとするForresterのレポートでは、次のように記している。リスクについても、ベンダー側が想定していないようなリスクが今後出てくる可能性もある。
「AIエージェントでは、自動化のリスクと報酬のバランス、人間の役割、エージェントが使用するデータを管理する方法など、新しい難題の答えを企業は見出さなければならない」
課金モデルも変わってきそうだ。SalesforceはSaaSをサブスクモデルで提供してきたが、Agentforceでは会話や営業リード1件単位2ドルという従量課金を導入するという。AIエージェントをサブスクで購入するのを躊躇する企業に対して敷居を低くした格好だ。Salesforceも明確な価値を提供する動機付けになる、としている。
メリットは明確も課題は残る
このようにメリットは明確だが、課題も残るのがAIエージェントの現状と言えるだろう。今後の展望として、人間が時間的制約から優先してできないような作業をAIエージェントが請け負うだろうと予想している。例えば、特定の地域の問い合わせの傾向分析などを挙げている。
AIチャットからAIエージェントへ、企業のAIサービスは進化している。最近では「エージェンティックAI」という言葉も出てきている。企業は動向を追い、意思決定を下していく必要がありそうだ。
Wall Street Journalが「AI Agents Can Do More Than Answer Queries. That Raises a Few Questions」という記事で、その影響を含めてレポートしている。