富士通は7月に、内閣府や経済産業省をはじめ関係府省が連携し、経済安全保障の強化と推進に向けて創設した「経済安全保障重要技術育成プログラム(通称“K Program”)」のもとで新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)が公募した「偽情報分析に係る技術の開発」に採択されていた。

富士通は10月16日、プライム事業者としてアカデミアや企業を再委託先として選定し、情報・システム研究機構 国立情報学研究所(以下、NII)、日本電気(以下、NEC)、慶應義塾大学SFC研究所、東京科学大学(採択時、東京工業大学)、東京大学、会津大学、名古屋工業大学、大阪大学ら9者により、偽情報の検知から根拠収集、分析、評価までを統合的に行う偽情報対策プラットフォームを2025年度末までに構築することを目指し、共同研究開発を開始することを発表した。

  • 事業者らの組織

    事業者らの組織

インターネットにおける生成AIや合成コンテンツによる偽情報の流通が大きな社会問題となる中、ディープフェイクを用いた意図的な偽情報コンテンツを検知する技術などが個別に検討されいる。しかしこれらは偽情報の問題における一部の解決策であり、根本的な解決には至っていない。偽情報を的確に検知するためにはこれら個々の技術による検知だけでなく、関連する周辺情報を集めて統合的に検証する仕組みが必要。

富士通と産学組織の計9者は偽情報に対する解決アプローチとして、真偽不明な情報に関連する周辺情報を根拠としてインターネット上から収集し統合管理し、根拠としての整合性や矛盾を総合的に分析することで真偽判定を支援するとともに社会への影響度を分析し評価することで偽情報の検知や対処を可能にする社会を目指す。これにより、偽情報による社会への悪影響を解決し、信頼性の高いデジタル社会を実現するとのことだ。

9者はこのアプローチに基づき、偽情報の検知、根拠収集・統合管理、総合的な分析、社会的な影響度評価に関する各種技術の研究開発を開始する。富士通がこれら技術を統合し、偽情報の検知から根拠収集、分析、評価までを統合的に行う偽情報対策プラットフォームを構築する。

  • 偽情報対策プラットフォームのイメージ

    偽情報対策プラットフォームのイメージ