ServiceNow Japanは9月25日、先日に発表したNow Platformの最新版「Xanadu」に関する記者説明会をオンラインとオフラインのハイブリッドで開催した。Now Platformは、同社がSaaS(Software as a Service)で提供する業務アプリケーションの基盤となるクラウドプラットフォーム。製品バージョンアップを年2回実施し、Xanaduは4月に発表した「Washington, D.C.」に続く、2回目のバージョンアップとなる。

過去最もAIにフォーカスした「Xanadu」

ServiceNow Japan 常務執行役員 COO(Chief Operating Officer)の原智宏氏は現状認識として「コロナ禍を経て多くのテクノロジーが企業に導入され、データやテクノロジーが乱立している。また、日本においては労働人口の低下、サービス品質の追求を両立するために生産性向上への対応、顧客満足度の維持・向上する取り組みが加速している。そのような中で企業は最新のイノベーションを積極的に業務に組み込み、効率的・魅力的なユーザー体験が必要になっているほか、システムの稼働時間と適応性の確保・両立、コラボレーションの強化が求められている」と語った。

  • ServiceNow Japan 常務執行役員 COO(Chief Operating Officer)の原智宏氏

    ServiceNow Japan 常務執行役員 COO(Chief Operating Officer)の原智宏氏

Xanaduでは「将来を見据えたスケール可能なコアテクノロジーの強化」「業界ごとのユースケースに特化したAIで業務を最適化」「実際のアクションにつながるAIを人々のために活用」「企業全体の生産性を高め、サービスと業務の回復力を強化」の4つの観点でアップデートに取り組んだ。原氏は「今回のアップデートは過去最もAIにフォーカスしたリリース」と述べている。

同社の生成AI「Now Assist」には数百のリリースがされており、今回のアップデートで通信、メディア、テクノロジー向け、金融機関向け、公共機関向けに提供しているインダストリーソリューションなどに対してNow Assistが展開されることになった。

  • 「Xanadu」のリリース概要

    「Xanadu」のリリース概要

原氏は「AIは単体で利用するのではなく、業務の中に組み込まれてこそ価値を発揮する。当社のプラットフォームにおけるワークフローエンジンが業務をサポートしているが、このデジタルワークフローにいかにネイティブに組み込むか、つまりAIを意識しないで利用できることを目指している」と力を込めた。

プラットフォームに必要な3つの構成要素

こうした考えのもと、独自のプラットフォームに対して必要なものとして「データ」「AI」「アクション」の3つを挙げた。これら3つの構成要素をサポートするためデータでは「Raptor DB」、AIが「ServiceNow LLM」、アクションは「Workflows & Now Assist Skill」となる。

Raptor DBは次世代のデータベースエンジンとなり、単一のアーキテクチャ、データモデルでトランザクションとアナリティクス両方のワークロードをサポートする。

  • 「Raptor DB」の概要

    「Raptor DB」の概要

ServiceNow LLMは、業務のユースケースに合わせて構築された用途特化型モデルとなり、アウト・オブ・ザ・ボックスにより立ち上げてすぐに利用できるほか、OpenAIなど汎用的なLLMにも対応。

  • 「ServiceNow LLM」の概要

    「ServiceNow LLM」の概要

Workflows & Now Assist Skillは、実際のアプリケーションとして提供される機能。同社はNow Assistで提供される機能をSkillと呼んでおり、例えば応対している履歴やチャットの要約などとなる。

  • 「Workflows & Now Assist Skill」で提供される機能

    「Workflows & Now Assist Skill」で提供される機能

一方、5月に開催した年次カンファレンス「Knowledge 2024」で発表したMicrosoftとのパートナーシップの進捗として、Xanaduのリリースにも含まれているNow AssistとMicrosoft Copilotの連携がある。従来、エンドユーザーが利用しているTeamsやCopilotからServiceNowに直接問い合わせすることを可能としている。