鈴木貴史・TalentX社長が語る「知人から紹介されるリファラル採用で『戦わない採用』を!」

人材獲得競争─。今はまさにこの言葉に象徴されるような時代になっています。2030年までに日本の労働人口は減少し、ほぼ全ての職業で人手不足が深刻化。いかに優秀な人材を獲得できるかが、企業の生き残り戦略になりつつあります。

 実は日本の労働市場において転職活動を積極的に実施していない「潜在層」が多数を占めています。その数は約1000万人。実際の転職者数が年間約300万人超ですから、その約3倍もの転職潜在層が存在しているということになります。

 一方で、転職エージェントを活用した転職であっても、採用企業と転職希望者との間でミスマッチが頻発しています。企業によっては10社の転職エージェントを活用しても、自社の望む人材が獲得できないというジレンマを抱えているのです。

 人材紹介では1名の社員を採用するのに、年収の35%という紹介手数料がかかり、中途採用においては、日本企業が掛け捨てている採用コストの概算は年間約1000億円ともいわれています。一方で、そのうちの3分の1はミスマッチで退職してしまっているのです。

 親子リファラル、兄弟リファラル……。2017年頃から「リファラル採用」という言葉が当たり前になってきています。当社は15年に創業し、日本で初となる企業が自社の社員に人材の紹介を受ける採用手法・リファラル採用サービス「MyRefer」などの「Myシリーズ」をリリースしてきました。累計導入社数は1000社以上、マッチングは1万人を超えます。

 当社のリファラル採用の醍醐味は「戦わない採用」です。会社のことを最もよく知っている現場の社員の紹介による採用手法のため、マッチングの精度が高く、応募から採用決定する確率が高いのです。また、入社時点から友人・知人といった仲間がいる安心感を醸成でき、その仲間から会社の魅力や風土、社風、業務内容の説明を受けているため、入社後に理想と現実のギャップが起きにくいのです。

 これにはもう1つの大きな効果があります。それは紹介した社員自身の士気向上につながるという点です。他人を紹介することで自らの歩みを振り返り、いかに自社が世の中の役に立っているかをもう一度突き詰めて考える機会にもつながります。

 もちろん、採用費用がかからないことも大きな要素にはなりますが、企業にとっては求める即戦力を採用できると共に、社員の当事者意識の醸成にもつながることは、経営をする上では大きなメリットになります。

 リファラル採用では、既に思いもかけない採用が実現しています。外食チェーンを展開する企業のある店舗では、パートとして働いていた母親の紹介で娘さんがアルバイトで入社し、親子で働いているそうです。

 また、自宅近くのゴミ捨て場でよく顔を合わせていた近隣の人から声がかかって転職が実現したというケースもあります。しかも、声をかけられた方は転職を考えていなかったそうですが、紹介者の話を聞くうちに転職を決意されたそうです。

 私自身、和歌山で600年続く寺の息子として育ちました。早いうちから人の死というものを身近に感じてきたからこそ、自分で人々の役に立つインフラを残したいという気持ちを強く持ち続けてきました。大学卒業後、インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社したのも起業を意識してのことでした。

 針の穴を通すような私たちにしかできない人材マッチング。それを実現する採用市場のインフラを目指していきます。

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