東芝は9月10日、保守点検やトラブル対応の作業手順を適切に提示できる対話エージェント技術を開発したと発表した。

対話エージェントの概要

今回、「応答生成AI」に、新たに開発した「応答評価AI」を加え、役割の異なる2つのAIを協調させることで、曖昧な質問に対しても適切な対応を可能にする対話エージェント技術を開発した。

「応答生成AI」は、ユーザーの質問文から複数の応答候補を生成し、「応答評価AI」は応答生成AIで生成された応答候補それぞれについて、適切さを評価する。

これら2つのAIの協調により、ユーザーの質問文に対する複数の応答候補とそれらの適切さの点数を導き出す。この点数に基づき最適な応答を選択し、ユーザーに対して応答する。

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対話エージェントの有効性を検証

同社は設備の保守作業を想定し、作業中に生じる不明点を質問してその対処法を提示するユースケースにおいて、新技術の有効性を検証した。

検証では、「応答生成AI」のみのチャットボットと、対話エージェントを用いたチャットボットの性能を比較。困りごとを入力する際、情報を具体的に入力したパターン(「機器Aの画面にエラーコード1234が表示されている」など)と、曖昧に入力したパターン(「動かない」、「ジョブエラー」など)のそれぞれで検証した。

検証の結果、従来技術では具体的な質問での成功率が76.7%だったのに対し、曖昧な質問では30.0%にまで低下したが、新技術では、曖昧な質問に対しても具体的な質問の場合とほぼ同等の73.3%の成功率を達成したという。

曖昧な質問文に答える際、従来技術はすべて1ターン目で回答していたのに対し、新技術は平均で2.3ターンのやり取りを実施。これらの結果から、同社は新技術が問い返しによる質問の具体化を通して適切に回答できていることを確認したと説明している。

今年度中に同社グループ内において、設備の保守作業の現場で、新技術を活用した問い合わせ業務の実証実験を開始予定。