Bluetooth SIGは9月3日、「Bluetooth Version 6.0」のコア仕様をリリースした。Bluetooth 5.0仕様がリリースされてから、8年近くぶりのメジャーバージョンアップとなる。

Bluetoothは、バージョンが進むごとに、速度、通信距離、省電力性能、安定性が改善され、より多様なデバイスや用途に対応範囲を広げてきた。バージョン6.0もこの流れに沿って、以下のように既存の機能と体験を改善し、さらに高精度な距離測定を行うチャネルサウンディングなど新機能を導入している。

  • Bluetooth Channel Sounding: 位相ベースの測距(PBR)を用いて、2つのBluetoothデバイス間の高精度距離測定を可能にする。Bluetooth LEではすでにデバイスの信号の出発角度と到着角度から方向を決定できており、チャネルサウンディングの追加により、位置に関してUWB(Ultra Wide Band)のような機能が可能になる。高精度な”探す”機能、位置に基づいた施錠/解錠など、これまでUWBを必要としていた位置機能が様々なデバイスで実現しやすくなる。
  • Decision-Based Advertising Filtering: Bluetooth LEの拡張アドバタイジング機能は、プライマリとセカンダリの両方の無線チャネルで送信される一連の関連パケットをサポートする。この新たなフィルタリングでは、スキャンデバイスがプライマリチャネルで受信したパケットの内容を基に、セカンダリチャネルで関連するパケットをスキャンするかどうかを判断できる。これにより、アプリケーションに関連するPDU(プロトコルデータユニット)を含まない可能性があるセカンダリチャネルのパケットをスキャンする時間を短縮し、スキャン効率を向上させられる。
  • Monitoring Advertisers: オブザーバーデバイスのホストコンポーネントは、重複するアドバタイジングパケットをフィルタリングするようBluetooth LEコントローラーに指示できる。それにより、ホストの効率を向上させられるが、オブザーバーデバイスがそのデバイスに接続しようとする際、デバイスがまだ通信範囲内にあるかどうかをホストが確認できないという欠点がある。新しいモニタリング・アドバタイザー機能は、ホスト・コントローラー・インターフェイス (HCI) イベントを使用して、対象デバイスが通信範囲に出入りするたびにホストに通知する。
  • ISOAL Enhancement: ISOAL (Isochronous Adaptation Layer) は、大きなデータフレームをより小さなリンクレイヤーパケットで送信し、受信側がデータを適切に処理するのに必要な関連タイミング情報を再構成できるようにするが、フレーム化されたPDUを生成する場合に待ち時間が増加する問題があった。バージョン6.0では、この遅延を低減する新しいフレーミングモードを定義することでISOALを改善し、それにより信頼性も向上している。
  • LL Extended Feature Set: デバイスはそれぞれがサポートするリンク層の機能に関する情報を交換できる。Bluetooth LEの高度化と多様性の増加に伴い、より多くの機能に対応できるように強化されている。
  • Frame Space Update: 接続時や接続されたアイソクロナスストリームで使用されるフレーム間隔が、従来の150マイクロ秒固定ではなく、ネゴシエーション可能になった。