「Qoo10」運営のeBayJapan、社会貢献活動「MOVE」の夏休み特別イベント開催 高校生がECの仕組みを体験

ECモール「Qoo10」やファッションアプリ「MOVE by Qoo10」を運営するeBay Japanは今年8月、一般社団法人若草プロジェクトとの共催で、「ネットショッピングって、どうなっているの?学び体験・見学ツアー」と題した夏休み特別イベントを実施した。

高校生を中心とした参加者はEC(オンラインショッピング)というビジネスの仕組みや仕事の役割や楽しさを学ぶとともに、物流を担う倉庫見学から実際に倉庫で行われている業務までを体験することでモノが届くプロセスの大切さに触れることができた。 

<企画意図は「自己実現」のための場の提供>  

eBay Japanは行動(MOVE)・動画(MOVIE)・最新のトレンド(MOVEMENT)・感動(MOVED)という4つのコンセプトからなるファッションアプリ「MOVE by Qoo10」のローンチに合わせて、2022年5月から社会貢献活動「MOVE」スタートしている。

▲ファッションアプリ「MOVE by Qoo10」のローンチを機に社会貢献活動「MOVE」がスタート

「つなぐ」「まなぶ」「ひろめる」という3つのコンセプトを掲げ、困難や生きづらさを感じている少女や若い女性を支援する若草プロジェクトと連携し、これまでも「MOVE by Qoo10」で発生する返品衣料品を新品同様の状態に再生し、商品を彼女たちに届ける「つなぐ」に注力した活動を続けてきた。

その中で今回は、初めて「まなぶ」の領域にチャレンジした。その意図を、eBay Japanの広報部長の吉田高夫氏は、次のように語る。

「そもそもECは、必要とする人と提供する人を結ぶプラットフォームです。それだけに、SDGsの理念や身体的・精神的・社会的に良好な状態を指すウェルビーイングという考え方に、近いところにいると考えています。その意味で、人生の選択肢を拡げる”まなぶ”は、ウェルビーイングの起点になり得ます。そこで今回は、誰かに認めてもらうのではなく、自分が自身を認めるための自己実現の扉を拓く取り組みとして、”まなぶ”にフォーカスしました」(吉田氏)

<オンラインショッピングの仕組みを「まなぶ」>

イベントの前半はECというビジネスの仕組みや仕事の役割や楽しさを授業のように参加者に学んでもらう形で進行。最初に登場したのはeBay Japan Seller Growth Teamに所属し、セラーが学び、成長していくために設けられた「Qoo10大学」の講師を務める廣瀬岳氏が登場。

自身がeBayで経験してきたカスタマーサービス、セールスサポート、そして現在のセラー育成といった仕事の役割や面白さと大変さを、エピソードを交えながら紹介。また、バイヤー(購入者)とセラー(販売者)の関係で成り立つECのビジネスモデルについても説明した。

▲優しさいっぱいで、ECの魅力を語ったeBay Seller Growth Teamの廣瀬岳氏

廣瀬氏は今回の取り組みを、次のように振り返る。

「参加した高校生たちが興味津々で耳を傾けてくれたので安心しました。それは、彼女たちがZ世代の次を担うα世代で、ECを巡る真っただ中にいることを実感していたからかもしれません。彼女たちにとっては、世の中の一端に触れただけに過ぎないかもしれませんが、少しでも社会の中で生きている自分の存在価値に気付いてもらえたら幸いです」(廣瀬氏)

<仕事の楽しさや喜びを共有した「Qoo10お仕事図鑑」>

「Qoo10お仕事図鑑」のコーナーに登壇したのは、eBay戦略マーケティング室部長のモラーノ絢香氏。

▲エピソードたっぷりにマーケティングの仕事を語るモラーノ氏

ブランドバリューを高め、定着・浸透させていくことをマーケティングの役割だと紹介した上で、マーケティング部門の人たちが、日頃からどのようなアンテナを張って活動しているかについて、次の3つの観点から仕事の面白さや喜びをとともに、社内にたったの4名で立ち上げたランニング部がいまでは45名規模になった逸話など、仕事以外の会社の楽しみについてもにこやかに語った。

① To Who(誰のために)

② Which One(どんな品物を)

③ When & Where(いつどこで発信するか)

余韻が冷めやらぬ中、モラーノ氏は次のようなメッセージを送ってくれた。

「たくさんの選択肢の中から自分らしい装いを見つけるファッションと同じように、”まなぶ”ことで視野が拡げれば、個性や自立を育んでいくことに繋がります。それだけに今回のイベントでは、”まなぶ”ってことは楽しいこと、そして自由になれることだっていうことを少しでも共有したいと思っていました」(モラーノ氏)

<丁寧な仕事ぶりが発揮されたお仕事体験>

昼食後はいよいよ「お仕事体験」。スタッフの指導のもと、返品衣料品の中からピックアップした商品を検品し、撮影用ライトを灯した場所にあるハンガーに掛けて支給されたスマホで撮影し、その写真を出荷業務用PCに送信して登録。さらに発送できるように袋詰め・箱詰め作業までを行った。

これらは「TsunAが~る」プラットフォームに登録され、必要とする人たちに届けられる。「TsunAが~る」とは、若草プロジェクトが運営する少女や若い女性たちが必要としているサポートと、企業・団体が提供可能なサポートをマッチングするためのデジタルプラットフォームである。

さすがにスマホの扱いは手慣れたもの。また袋詰め・箱詰め作業では、衣料品を丁寧にたたみ、きれいに包装することを心掛けていて、まるで商品が手元に届く人への思いが込められているかのようだった。お仕事体験が無事に終了した時に見せた表情からは、充実感が伺えた。

<関係者が語った振り返り>

ボランティアで登壇したeBay Japan MOVE Division Leaderの丸山恵未氏は、次のように感想を述べた。

▲eBay Japan MOVE Division Leaderの丸山恵未氏

「会社ではセラーを増やし、ECに出品される商品が増えれば増えるほど、多様性・パーソナル化(個性化)が進む消費者ニーズに応えることができるという思いで取り組んでいます。今後はこのような取り組みをセラーにも紹介して、一緒に輪を拡げていきたいと切に思いました」(丸山氏)

 

共催した若草プロジェクト事務局からは、デジタルプラットフォーム「TsunAが~る」の運営に携わっている佐藤氏、勝倉氏が参加した。

▲若草プロジェクトが運営する「TsunAが~る」

「いわゆる勉強とは違って、仕事体験を通じて”まなぶ”ことは気付きを促します。それが、和気あいあいとした雰囲気の中で実施できたことは、とても良かったです。今後もブラッシュアップを図りながら、継続していきたいと考えています」(勝倉氏)

「若草プロジェクトでは、社会の中に応援団を作ることで問題解決を図ろうとしています。その意味で今回のイベントが、素敵な応援だったことは間違いありません。ただ、”TsunAが~る”が全国360以上の施設・団体とつながっているように、課題を抱えている人たちはたくさんいます。より多くの人たちを応援するという意味で、今後はリモートでの実施も試みたいと感じました」(佐藤氏)

また、自立援助ホームで少女たちの日常を見守っている前野氏は、「普段見せない顔」を見せてくれたのが印象的だったという。

「お仕事の内容についてのお話、倉庫見学やお仕事体験をしている時もそうでしたが、特にランチタイムで見せていた彼女たちの表情が印象的でした。初めて会う人たちと同じテーブルで食事をしているにもかかわらず、しっかりコミュニケーションに加わっていました。彼女たちの新たな側面を垣間見ることができて、とても嬉しい気持ちになりました」(前野氏)

 

「”つながる”、”まなぶ”の次なるテーマは、”ひろめる”。これがなかなか難しいことは、十分に理解しています。それでも共創してくれる仲間や企業を地道に増やしながらチャレンジし続けるしかありません。いずれはエコシステムといわれるようなスキームに育てていきたいと考えています」(前出・吉田氏)