パナソニックグループは9月2日、三菱商事、メルカリ、ヤマト運輸と連携を図り、三菱商事が展開するSmariサービスを全国に展開することを発表した。

それに伴い、宅配ボックス「イーコンボライト」およびマンション用インターホン「クラウジュ」を活用し、マンションからメルカリが発送できるサービス展開について説明した。

説明会には、パナソニック エレクトリックワークスの猶本陽介氏、林伸昭氏をはじめ、三菱商事・メルカリ・ヤマト運輸からも代表者が登壇し、取り組みについて詳しく解説した。

  • 左から、三菱商事 S.L.C.グループ 食品流通・物流本部 物流開発部長の砂田重文氏、メルカリ 執行役員 VP of Business Development/Logistics Marketplaceの進藤智之氏、パナソニック ハウジングソリューションズ 会社 外廻りシステム事業部 商品企画部 部長の林伸昭氏、ヤマト運輸 執行役員(ネコサポ事業開発、エリアマネジメント推進 統括)の櫻井敏之氏、パナソニック エレクトリックワークス社 電材&くらしエネルギー事業部 マーケティングセンター 商品営業企画部 システム商品部 部長の猶本陽介氏、流通経済大学 流通情報学部 教授 同学部長 日本物流学会会長の矢野裕児氏

    左から、三菱商事 S.L.C.グループ 食品流通・物流本部 物流開発部長の砂田重文氏、メルカリ 執行役員 VP of Business Development/Logistics Marketplaceの進藤智之氏、パナソニック ハウジングソリューションズ 会社 外廻りシステム事業部 商品企画部 部長の林伸昭氏、ヤマト運輸 執行役員(ネコサポ事業開発、エリアマネジメント推進 統括)の櫻井敏之氏、パナソニック エレクトリックワークス社 電材&くらしエネルギー事業部 マーケティングセンター 商品営業企画部 システム商品部 部長の猶本陽介氏、流通経済大学 流通情報学部 教授 同学部長 日本物流学会会長の矢野裕児氏

再配送を防ぐ取り組み

SMARIサービスは、三菱商事が展開するEC(eコマース)商品、レンタル商品の発送をよりスムーズに行うことができるサービス。スマートフォン1つで発送手続きができるもので、伝票記入などの面倒な手続きを省くことができる。

近年の宅配物量は30年前と比較し、約4倍以上となっており、その中でもEC市場は規模拡大が進んでおり、「返品発送」やフリマアプリなどによるエンドユーザーからの「出品発送」も増加傾向にあるという。

「生活変化、ECサービスやフリマ市場の伸長により、非接触・非対面の取引やサービス提供の数は増加しています。その中で課題となっているのは『再配送率の高さ』です。2022年10月時点では、全体の11.8%、約6億個もの商品が再配送になっているという調査結果も出ています」(猶本氏)

  • 再配送率の課題を語る猶本氏

    再配送率の課題を語る猶本氏

このような状況下で、2023年4月21日にパナソニックエレクトリックワークスと三菱商事は協業し、受取だけでなく発送もできる「二刀流」の宅配ボックスである「イーコンボライト スマリ対応タイプ」を発売開始した。

  • イーコンボライト スマリ対応タイプの特徴

    イーコンボライト スマリ対応タイプの特徴

イーコンボライト(スマリ対応タイプ)は、パスコードで荷物の受け取りができる電子錠付き宅配ボックスで、戸建て住宅用宅配ボックスとしては初めて、EC商品・レンタル商品などの発送・返品・返却ができるSMARIサービスへ対応したもの。

ECなどで購入した商品の発送・返品やレンタルサービス、サブスクリプションサービスなどの返却、商品修理や補修のための発送作業が宅配業者やコンビニエンスストアに持ち込むことなく、自宅から非対面で発送が可能となる。

  • 「らくらくメルカリ便」も加わり、全国対応が可能になった

    「らくらくメルカリ便」も加わり、全国対応が可能になった

これにより、約20社のECサービスにおいて自宅からの発送が可能になっていたが、今回「メルカリ」にも対応し、自宅玄関の前からいつでも気軽に「らくらくメルカリ便」の発送が可能になったという。

使用方法としては、宅配ボックスに独自のQRシールを貼り付けるのみ。これによりアナログなボックスをデータ化でき、受付する、入れる、閉めるの3ステップで配送が完了するという。

  • 使用方法のイメージ

    使用方法のイメージ

オートロックマンションでも配送を可能に

宅配事業者はオートロック付きの集合住宅でも、イーコンボライト(スマリ対応タイプ)が設置されていれば、パナソニック エレクトリックワークスが展開するマンションインターホン「Clouge」などを使って、各住戸前から荷物の集荷が可能になる。

「ECによって注文された荷物の配送先の約60%がオートロック付のマンションでした。これが荷物を配送できず、再配達になってしまう主要因となっていました」(林氏)

  • イーコンボライト(スマリ対応タイプ)の使用方法を説明する林氏

    イーコンボライト(スマリ対応タイプ)の使用方法を説明する林氏

2025年度からラストワンマイル(最終拠点から消費者へ届くまでの配送区間)規制も始まるが、集合住宅に関しては、オートロックを突破できないと再配達に関する課題は解決できないと言われている。

その課題に対して、林氏は「Clougeを活用することで、マンションならではのセキュリティを確保しながら、配送業者はサービス住戸までの動線を確保できる」と説明した。

  • Smariサービス対応の宅配ボックス「e-COMBO LIGHT(イーコンボライト)スマリ対応タイプ」とインターフォン「Clouge」

    Smariサービス対応の宅配ボックス「e-COMBO LIGHT(イーコンボライト)スマリ対応タイプ」とインターフォン「Clouge」

Clougeは、音声認識機能により音声で操作ができるほか、スマートフォンで来客対応が可能な拡張機能を持つ。これらを組み合わせることで、マンションならではのセキュリティを確保と動線の確保の両立を実現したという。

最後に猶本氏は以下のように説明を締めくくった。

「メーカー、デリバラー、サービサーなど、各事業が一体となって、労働、物流、環境といった社会問題を解決し、ニューノーマルに対応した豊かなくらしを実現していきます。今後の目標としては、メルカリの発送の全国対応とマンションのオートロック解除機能の2つにより、1年後には1万台までの売り上げを目指します」(猶本氏)