導入失敗サービストップは「メール送信」 解約理由トップは「効果が出なかった」【エルテックスが調査】

ECサイト構築/通販システム構築・支援を手がけるエルテックスはこのほど、EC・通信販売事業関与者の実態調査を実施し、「通販事業者が失敗・解約したEC関連サービス」「通販/ECシステム導入の重視点」などを集計・分析した調査結果の2024年版を発表した。通販事業者が導入に失敗・解約したEC関連サービストップは「メール送信」なことなどがわかった。

エルテックス、2000年頃より、ECサイト/通販システムの開発、および構築を積極的に推進しており、関連する市場動向把握のため、今回で23回目となる独自調査「通信販売事業関与者の実態調査2024」を実施した。調査期間は6月30日~7月4日で、回収サンプル数は300。調査対象者は、年商規模1億円以上の通販事業に携わるマーケティング・広告・宣伝、業務(受注、決済、配送、その他の業務)、情報システムの職種の会社役員、社員、派遣社員、個人事業主となる。

自社の中核顧客である通販企業の実態を把握したうえで、通販ビジネスの強化、通販サービス質の向上に向け、製品やソリューションサービス改善につなげたい考えを示した。

ECサイトにSaaS型、またはオンプレミスで利用する有料ツールで、「導入に失敗した、使えなくて契約を解約した」ものについてたずねた問い(複数回答)では、「メール送信」が20.7%ともっとも多く、「サイト内検索」(20.0%)、「アンケート」(19.0%)と続いた。

「メール送信」がトップとなった一方で、同じメール送信でも「シナリオ/ステップアップメール」は13.7%となっており、手間暇や創意工夫を凝らした「メール送信」には一定の効果があり、「失敗・解約のスコアが低くなった」と推測できるとしている。

続いて、ECサイトにSaaS型、またはオンプレミスで利用する有料ツールにおいて、「導入に失敗した、使えなくて契約を解約した理由」をたずねた(複数回答)。解約したEC関連サービストップの「メール送信」においては、「効果が出なかった」(25.8%)「利用料が高かった」(24.2%)が2トップボックスとなった。効果が出ない上に、利用料が高いといったことで、「サイト内検索」とは0.7%違いの僅差ではあるものの、導入に失敗・解約したEC関連サービスのトップとなった。

自身や自身の会社が、「通販の販売管理システム、ECシステム(パッケージ、クラウド、ASPなど)」の導入を決定した際にもっとも重視した点をたずねた問いでは、「導入や運用のコスト」(全体:29.2%)の回答がもっとも多く、特に年商が1億円~10億円未満といった規模の事業者では40.6%と非常に高い結果となった。

50億円以上の年商規模の事業者でも、トップは「導入や運用のコスト」(27.0%)だった。他の年商規模ともっとも異なる数値が出たのは「希望の納期への適用力」(14.9%)で、平均値と比較して+5.7ポイント、年商規模5億~50億円未満と比較して+8.6ポイントとなり、事業者としての規模の大きさから、計画通りにシステムの構築や移行が進まないことで、事業計画や、上場企業であれば株価への影響への危惧などが背景にあると推察している。

一般的には、生産活動におけるQCDの優先順位は、Quality(品質)>Delivery(納期)>Cost(コスト)と言われているが、通販市場に流通するいわゆる名の知れた通販やECシステムは一様に質が高いと考えられることから、質が同レベルのシステムのさらなる比較材料として、納期、コストは、その会社の置かれている立場により優先順位が変わるのだろうとの見解を示した。