キンドリルジャパンは8月30日、デジタルワークプレイスサービスに関するメディア向けの説明会を開催した。説明会には同社 理事 デジタルワークプレース事業部長の秋吉香織氏と、同デジタルワークプレース事業部 シニアマネージャーの笹野渚氏が出席した。

「インクルーシブなカルチャーを実現するワークプレイス」を標榜するキンドリル

まず、秋吉氏は企業と投資家の観点による重視すべき項目の違いについて説明した。同氏は「企業ではIT投資や設備投資に着目している一方で、投資家は人材投資に最も着目しており、企業とは34%の開きがある72%となっており、人材投資は重要だ」と指摘。

  • キンドリルジャパン 理事 デジタルワークプレース事業部長の秋吉香織氏

    キンドリルジャパン 理事 デジタルワークプレース事業部長の秋吉香織氏

同社では従業員エンゲージメントを向上させるために相互の信頼に加え、1つ1つの従業員エクスペリエンスを積み重ねていくことに注力し、「ロケーションフリー」「デバイスフリー」「リミテーションフリー」の3つのフリーを実践している。

こうした取り組みをもとに同社が目指すワークプレイスは「インクルーシブなカルチャーを実現するワークプレイス」としている。秋吉氏は「お互いを認め合い、感謝し合い、高め合うワークプレイスを目指している。上記3つのフリーを実現するワークプレイスのモダナイズ(近代化)、知見の共有とお互いを認め合う週間、多様な人材を最適にマネジメントするプラットフォームがポイントになる」と説く。

  • キンドリルジャパンが目指すワークプレイスの概要

    キンドリルジャパンが目指すワークプレイスの概要

同氏によると、ワークプレイスのモダナイズを実現するためにはプロアクティブ(能動的)、プレディクティブ(予測)、シームレスの3原則が鍵になるという。同氏は「簡潔に言えば、最適なワークプレイスにおいて、どのように使われているのか体験を理解し、シンプルであることだ」と話す。

ITヘルプデスクのモダナイズ

そして、笹野氏は同社が提供するデジタルワークプレイスサービスについて「従業員が職場で使うデバイスやコミュニケーションツール、アクセス権の管理、データ保護などを扱っている。ユーザーをサポートする仕組みとしてはサポートデスクや環境サポート、電話サポート、チャット、セルフサービス、AIでのサポートを提供している」と述べた。

  • キンドリルジャパン デジタルワークプレース事業部 シニアマネージャーの笹野渚氏

    キンドリルジャパン デジタルワークプレース事業部 シニアマネージャーの笹野渚氏

  • キンドリルジャパンにおけるデジタルワークプレイスに関連した提供サービスの概要

    キンドリルジャパンにおけるデジタルワークプレイスに関連した提供サービスの概要

その中でもITヘルプデスクについて重点的に説明した。これは、製造業をはじめとした、さまざまな業種や企業文化を持つ顧客に向けてヘルプデスクの構築・運営サービスのノウハウをもとにヘルプデスクの立ち上げ、次世代ヘルプデスクへの移行を支援している。

笹野氏は「土台作りが重要。まずはフェーズ1でヘルプデスクにおける環境の土台作りとして、現状でどのような従業員支援を行い、ペルソナはどういったものなのかなどを把握し、フェーズ2でITSM(IT Service Management)ツールを導入して、サービスレベルを決定しつつITSMをベースに技術チームとの連携やナレッジ作成、情報発信する。フェーズ3ではデータの可視化・分析により、アプリ開発の不具合解消の反映やチャットボットでセルフ解決できる状態にしていく」と強調した。

  • ITヘルプデスクの支援内容

    ITヘルプデスクの支援内容

ITヘルプデスクにおける生成AIのユースケースでは、コール受付時の自動文字起こしによるインシデント登録時間短縮や問い合わせ傾向の分析によるリアルタイムでのFAQ自動生成、問い合わせ速報と自己解決手順の提供が可能だという。

  • ITヘルプデスクにおける生成AIのユースケース

    ITヘルプデスクにおける生成AIのユースケース

一方で、Microsoft 365の活用支援も提供しており、秋吉氏が解説した。M 365の標準機能では、利便性や運用容易性に欠ける部分を補う機能提供、端末管理、エンドユーザーサポート、自己スキル育成まで総合的に支援。

  • ITヘルプデスクの支援内容

    Microsoft 365の活用支援

同氏は「ヘルプデスクに生成AIを活用すれば、インシデントを蓄えてリアルタイムにナレッジを生成することが可能になる。さまざまなインサイトを導き出すために、ITSMツールに生成AIを使えば根底にあるトラブルやユーザーのニーズなどを把握できるようにトライアルしている」と述べた。

生成AIに関しては「Microsoft Copilot」の導入から浸透までを支援。導入後は利用ユーザーのリテラシー向上の施策や、社内のコミュニティ形成が重要になるため、ガバナンス作成からユーザーサポート、高度な利活用支援まで幅広く支援していく考えだ。