オイシックス・ラ・大地のCVCファンド、SECAI MARCHEへ投資実行 東南アジアで生鮮食品ECを展開

食品のサブスクリプションサービスを提供するオイシックス・ラ・大地の投資子会社Future Food Fundはこのほど、フードイノベーション領域に特化したCVCファンド「Future Food Fund 2号」において、東南アジアで生鮮食品ECプラットフォームを提供するSECAI MARCHEへ新規投資を実行した。事業成長をサポートするとともに、SECAI MARCHEのサービスと通じた日本の農産物の海外市場への販路拡大に貢献する。

オイシックス・ラ・大地が設立したFuture Food Fundは、日本の食のスタートアップエコシステムを作るため、フードイノベーション領域に特化した国内外のスタートアップ企業への出資を目的としたCVCファンドを運営する投資子会社。パートナー企業とともに、国内外の先進的な食・農・ヘルスケア領域への積極的な投資と、販売や商品開発などの支援も可能としており、日本国内で、スタートアップ企業を支援するエコシステムの構築を目指している。

このほど、東南アジアで生鮮食品ECプラットフォームを提供するSECAI MARCHEへ、2024年7月末クローズのシリーズAエクステンションラウンドにて新規投資を実行した。

SECAI MARCHEは、マレーシアを拠点に、生産者と消費者を直接結ぶグローバル産直ECプラットフォームを開発・運営。新鮮な農作物を公正な価格で流通させる生鮮食品ECと、フルフィルメントの最適化システムを生産者と消費者に向けて提供している。流通過程での温度管理や品質管理の課題を解決し、効率的な配送を実現することで生産者の収益化をサポートするとともに、消費者にとっても利便性の高いオンライン販売と、高品質な生鮮食品へのアクセスを提供する。

▲SECAI MARHCEのビジネスモデル 

東南アジアにおけるEC市場は2021年の1200億ドルから、2025年までに約2倍の2340億ドルまでの成長が見込まれており、中でも食品は大きく成長しているカテゴリーだ。

一方で、東南アジアの生鮮食品流通は、配送時の温度管理や効率的な配送のためのロジスティクスシステムの整備の課題から、消費者が品質の高い食材を入手することが難しい状況がある。また、生産者側には、食品ロスの発生や受注から発送における作業の複雑さなどの課題があり、市場における良い生鮮食品の流通には改善の必要があるとし、SECAI MARCHEは、これらの課題に対してソリューションとなる生鮮食品ECプラットフォームと、フルフィルメント効率化のためのシステム提供している。

SECAI MARCHEは東南アジアの生鮮食品市場をターゲットとしているが、構築してきたフルフィルメントシステムにより日本の農産物を東南アジアへ輸出できることから、現地の消費者、事業者が高品質な日本の農産物を購入することも可能になり、日本の農産物の輸出拡大への貢献も期待できる。

Future Food Fundは、商品仕入れや流通面での支援、Future Food Fundのリミテッドパートナー企業との協業機会の創出などを通じて事業成長をサポートするとともに、SECAI MARCHEの生鮮食品ECプラットフォームやサービスを通じ、今後日本の農産物の海外市場への販路拡大にも貢献できるようサポートしていく考えを示した。

SECAI MARCHEへの投資は、現在設立中のファンド「Future Food Fund 2号」における第13号投資案件となり、今後も食の領域でチャレンジするスタートアップ企業にさらなる投資を行っていくとしている。

今回の取り組みにあたり、SECAI MARCHE 代表取締役 早川周作氏は、「SECAI MARCHEは、『生産者と消費者がダイレクトに繋がることで、情報・モノが平等に流通し、全ての人がサステイナブルに成長できる世界を創造する』をミッションとして、東南アジアを中心に産地直送のフルフィルメントプラットフォームを運営しています。我々のミッションは、『より多くの人がより良い食生活を楽しめる未来を作る』」という、Future Food Fundのミッションと一致しており、彼らが持つ経験値、パートナーとは非常に関連性が強いことから、今回投資家として加わって頂けたことを非常に嬉しく思います。今後も両者の連携を通じて、日本の農 産物の海外販路拡大に貢献していきます」と述べた。

SECAI MARCHE 代表取締役 杉山亜美氏「東南アジアにおいて、生鮮食品のインフラはまだまだ未発達です。SECAI MACHEは中小規模の生産者など、誰もが利用できるインフラを創り上げることによって、生産者と消費者の双方がサステイナブルに成長できる、そんな世界を実現していきます。美味しさにこだわる国内外の生産者のみなさまとともに、我々の『新鮮・適正価格・便利』な圧倒的なサプライチェーンで、東南アジアにおける食の可能性をより一層広げていくことができることを楽しみにしております」とコメントした。

Future Food Fund 投資担当 長谷川浩之氏は、「私自身が過去スタートアップで食品の製造やフルフィルメント、サプライチェーンに関わった経験から、より良い食のあり方は単にエンドユーザーに届く食材や製品のおいしさだけでなく、その産業全体を支える裏側のシステムやインフラが非常に重要であると感じています」と話す。

「杉山さんと早川さん、創業者お2人に初めてお話をうかがった時、事業に直結するバックグラウンドの強さはもちろんのこと、考え抜かれたオペレーションや、会社として行ってきた1つひとつの選択に確かな理由と意思があることを感じました。また、食関連事業にとって非常に厳しい環境であったパンデミック下でも力強く事業を構築し、長期視点での戦略的な投資を進めてこられた経緯をうかがい、投資をさせていただきました。今後も経済成長を続ける東南アジアにおいて、なくてはならない食のインフラを作り、日本の農産物が東南アジアにも販路を広げ、現地の消費者に多様でおいしい食を提供してくれることを期待しています」とコメントした。