New Relicは7月30日、オンラインで記者発表会を開き、統合型のデジタルエクスペリエンスモニタリング(DEM)を強化するソリューション「New Relic Digital Experience Monitoring」の提供開始を発表した。なお、同ソリューションはNew Relicの契約ユーザーやフリープランのユーザーは追加料金なしで利用できる。
良質なユーザー体験を提供し続けることは必達の課題
まず、New Relic 技術統括 コンサルティング部 兼 プロダクト技術部 部長の齊藤恒太氏は「デジタルサービスは今や社会インフラだ。さまざまな業界でシステム障害が後を絶たず、ユーザーに影響のある障害は深刻な社会問題につながりかねない。ある調査結果からも質の悪いユーザー体験はユーザーの満足度を低下させることに加え、提供するサービスの評価が下がり、リピーターも減少するとともに新規ユーザーも獲得できず、収益に影響を及ぼす」との見解を示した。
ユーザーにおいてアプリの読み込みができない、動作が遅い、応答しないといったDEMはアプリのパフォーマンスを最適化し、デジタル体験の中断は、顧客満足度を低下させ、カートを放棄したり、悪いレビューを残したりする原因となる。
結果として、コンバージョン率の低下や機会損失を招き、最終的に収益に影響を及ぼしかねない一方で、大半の企業は複数のユーザー監視ポイントソリューションを利用しているため、デジタル体験について、まとまりがなく部分的なビューが作成されるといった課題を抱えているという。
齊藤氏は「デジタルサービスが社会インフラになっていることをふまえると、良質なユーザー体験を提供し続けることは、デジタルサービスを提供する側としての必達の課題になっている。ユーザー体験を良くすることでユーザー満足度が向上するとともに、その結果として市場評価や他社に対する競争力も向上し、企業の収益にもつながる。ユーザー体験は継続的に改善・向上させていくことが必要なため、ユーザーがどのような体験をしているのかを把握することが重要になる」と強調した。
デジタル体験の中断を未然に防ぐ「New Relic DEM」
そのため、DEMはデジタル体験の中断を未然に防ぐことができ、モバイルやWeb、AIアプリにおいて、エンドツーエンドの可視性とリアルタイムのインサイトを提供する。
同氏はDEMについて「ガートナーの定義では、クラウド、SaaS(Software as a Service)、またはWebアプリケーションの使用時にエンドユーザー体験の可用性やパフォーマンス、品質を監視するものだ。エンドユーザー体験を観測して、問題を即座に解決できるDEMが重要になる」と説明。
また、ガートナーはDEMのコア機能として位置づけるものがアプリケーションの観点からユーザー体験をリアルタイムに測定する「リアルタイムモニタリング(RUM)」と、アプリケーションに対するユーザーインタラクションやAPIテストをシミュレートしてテストし、ユーザーが影響を受ける前に問題を排除する「外見監視(Synthetic Monitoring)」の2つ。
DEMはブラウザ監視、モバイル監視、外形監視などのリアルユーザー監視(RUM)機能と、APM 360、Errors Inbox、AIモニタリングを単一のプラットフォームに融合させ、すぐに利用できるという。
DEMの主な機能
主にDEMでは、New Relic Browser Session Replay、同Mobile User Journeys、同Mobile Logsの3つの機能で構成している。
Browser Session Replayは、ブラウザ上のユーザー操作を記録し、New Relic上でビデを再生するような形でユーザー体験を把握できることに加え、問題が発生する前後の画面操作やAPI呼び出しなどを詳細に認識。エラー発生の30秒前からの操作も記録して状況を再現し、エラー発生時と通常動作時それぞれのサンプリング頻度の調節を可能としている。
Mobile User Journeysは、アプリのクラッシュに居たた操作経路を俯瞰的に可視化し、どのような経路をたどりがちだったのかを直感的に把握が可能。操作経路や構成の共通項を迅速に把握することで原因を容易に特定し、クリックだけで詳細情報にドリルダウンして調査できるという。
Mobile Logsは、モバイルアプリのログを収集することで挙動を詳細に把握でき、エラーログだけの収集や収集する量を調整できることから、負荷を抑えた状態のログ収集を可能としている。New RelicのUI(ユーザーインタフェース)上からログ出力をコントール可能なため、突発的な問題発生時にユーザーに影響なく、調査ができるとしている。
最後に、斎藤氏は「New Relic DEMソリューションとして新機能をリリースすることで、ユーザーサイドの操作や問題の把握・解決が容易にできるようになる」と述べ、説明を締めくくった。