米ニューヨーク連邦地方裁判所は7月24日、米国国境の入国管理担当者が旅行者の電子機器を捜索する際に、令状を必須にするという判決を下した。適用されるのはニューヨーク州東部地区のみだが、先例となる可能性がある。

外国人旅行者にはプライバシーがほとんど守られず

この判決は、2022年にニューヨークのジョン・F・ケネディ空港において、国境警備にスマートフォンを没収され、ロック解除に必要なパスワードを教えるように強要されたKurbonali Sultanov氏の刑事事件に起因する。

Sultanov氏は自身のスマートフォンから取り出された写真などについて、米国憲法修正第4条に反するとして、差し押さえを求めていた。

Sultanov氏側は、修正第4条の下で、国境におけるスマートフォンなどの電子機器の捜索には正当な理由の裏付けと令状が必要であると主張していた。

7月30日付The Vergeなどの報道によると、国境は法的に明確ではない空間であり、外国人旅行者にはプライバシーがほとんど守られず、米国人でもプライバシーに踏み込んだ捜査が行われることがあるという。

背景として、米政府は国境で独自の権限を主張しており、令状なしに所持品検査を行うことができる。米国の国境は、米国土安全保障省下にある税関・国境取締局(CBP)が統括している。今回の判決は、裁判が行われたニューヨーク州東部地区のみに適用となる。