リコージャパンは7月29日、社内の営業現場で用いるSFA(Sales Force Automation:営業支援システム)およびCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)システムについて、自社開発したAIレコメンド機能を搭載して刷新したことを発表し、 「RICOH BUSINESS INNOVATION LOUNGE TOKYO」(東京都 港区)で記者説明会を開いた。

課題を解決するための営業に向けSFA / CRMシステムを刷新

リコージャパンでは2003年ころに、営業生産性の向上を目的にパッケージシステムの導入を検討していたそうだ。しかし、業務内容にシステムがフィットせずに断念。結果的に自社開発に方針を変更しシステムを構築した。

それから約20年が経過し、オフィスサービスやデジタルサービスの会社へと事業領域を転換する中で、その変化に適応したシステムの刷新が求められるようになった。また、長年のシステム増改築によりプログラムが複雑化したほか、システムを熟知した技術者の減少や、AIやモバイルといった現代的な技術に対応できていなかったことなどを背景に、今回のシステム刷新に至った。

SFA / CRMシステムの刷新により、リコージャパンは全職種が連携したフォーメーション体制による顧客対応、顧客の課題に応じたソリューション提案、顧客接点の量と質の向上などを目指す。加えて、経営と事業の迅速な意思決定やPDCAサイクルの高速化にも寄与する狙いがある。

  • リコージャパンがSFA / CRMシステムの刷新により目指す姿

    リコージャパンがSFA / CRMシステムの刷新により目指す姿

営業活動を効率化するための2つのAI技術

今回のSFA / CRMシステムの刷新に際して同社が開発したAIレコメンド技術は、事前準備段階の提案内容の高度化を支援する技術と、商談やヒアリングの内容をさらなる提案につなげる技術だ。

準備段階に提案内容の高度化を支援する技術は、顧客セグメントごとの販売実績や過去の購買履歴、営業担当者が日々作成している日報や市場トレンドの情報などから、ターゲットとなる顧客へのおすすめ商品やサービスをピックアップする。また、AIが提案理由も合わせて提示するため、納得感のある営業活動に寄与する。

  • 提案すると良さそうな商品やサービスを理由と共にAIが提示する

    提案すると良さそうな商品やサービスを理由と共にAIが提示する

商談やヒアリングの内容をさらなる提案につなげる技術では、顧客からの問い合わせや要望、持ち帰った宿題などを自然言語で入力することで、その中から顧客の課題をAIが認識して適切な商品・サービスのチラシや資料を提示する。

  • 自然言語で入力した内容からAIが適切なチラシや資料を提示する

    自然言語で入力した内容からAIが適切なチラシや資料を提示する

これらのレコメンド機能を支えるAIには、過去の営業活動でCRMに蓄積された顧客情報や、SFAで管理する幅広い業種や顧客層との取引履歴を活用しているという。AIを使用することで、蓄積データを最大限に活用した営業活動が見込めるとのことだ。

リコージャパン デジタルサービス企画本部 AIソリューションセンター センター長の児玉哲氏は、「これらのレコメンドAI技術については、5月から先行して3支社で活用を開始しており、8月からは全48支社へ展開する予定。社内で実践しながら課題やノウハウを蓄積し、なるべく早い段階でレコメンドAI技術をお客様にも展開できれば」と、今後の展開についてコメントしていた。

  • リコージャパン デジタルサービス企画本部 AIソリューションセンター センター長 児玉哲氏

    リコージャパン デジタルサービス企画本部 AIソリューションセンター センター長 児玉哲氏